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[I-P16-05] 心臓型総肺静脈還流異常症(TAPVC(IIa))に対するCut-back法の遠隔成績
Keywords:TAPVC, Cut-back, 遠隔成績
【はじめに】心臓型総肺静脈還流異常症(TAPVC(IIa))の外科治療成績は比較的良好とされている。当院における詳しい術式別の遠隔成績を検討した。【対象と方法】心エコーのみによる術前診断法が確立した1985年から2016年までに当院で外科治療を施行した2心室修復可能なTAPVC(IIa)27例を対象とした。手術時年齢:1日-4ヶ月(中央値27日)、体重:2.4-5.8kg(3.1kg)、15例が新生児例であった。男15例、女12例。術前からのPVO症例は9例で、手術はCommon chamberとcoronary sinusの間にsevere stenosisを合併した1例はposterior approachで、残り26例はcut-back法でおこなった。Cut-back法のrerouting patchは自己心膜12例(Gp P)、有茎右房壁フラップ7例(Gp F)、Gore-Tex patch7例(Gp G)であった。2例(Gp P, Gp F)で末梢PVに切り込んで肺静脈形成を施行した。体外循環時間:50-152分(79分)、大動脈遮断時間:0-106分(41分)。【結果】手術死亡1例(Gp G: 術中大動脈解離)。術後PVO発症例は2例で、うち1例が遠隔死亡した(Gp F: 8ヶ月)。遠隔期再手術例なし。Kaplan-Meier法による累積生存率は10年92.1%、20年92.1%であった。生存例の遠隔成績は良好で全例NYHA: I度、胸部レントゲン写真上CTR: 47.0±5.4%、BNP: 15.7±12.4pg/ml、心エコー上LVSF: 0.34±0.05、estimated RVp: 32.1±4.7 mmHg、PV-LA flow: 1.5±0.5m/secであった。しかしながら術後13.0±7.6年でのHolter ECGではGp Fの2例でIIAVBとparoxysmal JRを認めた(術後3年、22年)。【結語】TAPVC(IIa)に対するCut-back法の遠隔成績は術式に関わらず良好であるが、有茎右房壁フラップを用いた症例の一部に遠隔期不整脈を認め、さらなる慎重な経過観察が必要である。