The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

外科治療遠隔成績

Poster (I-P16)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Kyoichi Nishigaki(Pediatric Cardiovascular Surgery, Osaka City General Hospital)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P16-08] TAPVC修復を経てTCPCを目指した無脾症候群の中期遠隔成績

平松 祐司1, 松原 宗明1, 野間 美緒1, 徳永 千穂1, 加藤 愛章2, 高橋 実穂2, 堀米 仁志2 (1.筑波大学 医学医療系 心臓血管外科, 2.筑波大学 医学医療系 小児科)

Keywords:総肺静脈還流異常, 無脾症候群, Fontan

【背景】単心室症治療体系の整備やsutureless法の普及によってTAPVC合併単心室疾患の治療成績は向上しつつあるが、無脾症候群でのTAPVC手術死亡率は30 - 40%と高く、TCPC到達率は低い。当院で経験したTAPVC合併無脾症候群について、TCPCへの道のりを振り返り問題点を探った。【対象】TAPVC修復後TCPCを目指した無脾症候群5例。初回手術としてTAPVC修復を行ったのは4例(TAPVC Ia型+BTS;生後3日、III型;生後10日、III型+PAB;生後2ヶ月、Ia型+Glenn;7歳時)で、第2期手術での修復が1例(Ia型+BTS;生後8ヶ月)。追跡期間は6ヶ月~17年。【成績1;TAPVC】全例common PV-LA直接吻合法で修復した。Iaの新生児例とIII型の2例は術前にPVOを認めた。追跡期間中PVOの再発や再手術はなかった。【成績2;Fontan track】初回TAPVC修復時にPABを行ったIII型の1例は再絞扼後にGlennに到達(生後17ヶ月)、他の初回TAPVC修復3例は次期手術がGlennまたはTCPCであった。これら4例のGlenn時のRpは0.76 - 2.8、平均肺動脈圧は5 - 14mmHgで、4例すべてTCPCに到達した。III型の1例はTCPC時に房室弁形成を行い、軽度の逆流が残存している。7歳時にIa型修復を行った例はTCPC後遠隔期に心室頻拍を生じ、PM+ICD植込みを行った。内科管理によってNYHA II度を保ってはいるが、心室機能は低下している。初回BTS後の第2期にTAPVC修復をしたIa型も術後PVOはなかったが、Glenn待機中に肺炎で失った。【考察と結語】僅少な経験の上branch PVOのない症例に恵まれたとは言え、TAPVC合併無脾症候群5例はいずれも従来のcommon PV-LA吻合後最長17年間PVOの気配なく、うち4例(80%)がTCPCに到達した。むしろ感染、房室弁逆流、不整脈や心室機能低下が遠隔予後やQOLを左右しており、今後はこうした併存症に対する注意深い観察や治療が主体となろう。Branch PVOのない症例では、無脾症候群と言えどprimary sutureless repairを必須とはしないと考えている。