E-Oral Presentation　5 (II-EOP05)

[II-EOP05-03] Fontan循環では慢性腎障害を高頻度に認める

^○白神 一博¹, 犬塚 亮¹, 朝海 廣子¹, 進藤 考洋¹, 平田 陽一郎¹, 平田 康隆², 岡 明¹ (1.東京大学医学部附属病院 小児科, 2.東京大学医学部附属病院 心臓外科)

Keywords:フォンタン, 腎機能障害, eGFR

【背景】Fontan循環では術後遠隔期に腎障害が生じることが知られているが、それについて検討した報告は少ない。【目的】Fontan術後遠隔期における腎機能障害の発生率や程度を明らかにし、その危険因子を検討する。【対象・方法】対象は2014年1月から2016年12月の間に当院にて心臓カテーテル検査を施行した全Fontan術後患児、連続33症例。このうち、Fontan術前からeGFRが90 mL/min/1.73 m2未満だった1症例を除いた32症例(男20、女12症例)で検討した。全例とも腎尿路系の既往歴はない。Fontan術施行時点の年齢は2歳7か月±1歳4か月、心臓カテーテル検査施行時点の年齢は2歳4か月～19歳(中央値6歳9か月)、Fontan手術からの経過年数は132日～17年(中央値3年9か月)、全例ともNYHA I度。Fontan術後カテール検査施行時点での慢性腎障害の程度を日本小児腎臓病学会が定めるStage分類により分類し、危険因子について腎障害を認める群と認めない群とで比較検討した。【結果】全症例の血清Creは0.43±0.14 mg/dL、eGFRは97.3±14.6 mL/min/1.73 m2、全症例で蛋白尿は認めなかった。小児慢性腎臓病のステージ1は22例、ステージ2 (eGFR＜90 mL/min/1.73 m2)は10例(全体の31%)だった。危険因子の解析として、Fontan術後経過年数, SpO2, Hb, 血清Ca, BNP, PRA, ALDS, CVP, 体心室EDP, 肺血管抵抗, 利尿剤の内服, ACEIやARBの内服, 肺血管拡張薬の内服を検討したが、いずれも両群間で有意差を認めなかった。【考察・結論】Fontan術後症例の31%で小児慢性腎臓病Stage 2を認めた。これは過去のアメリカからの報告10%よりも非常に多い結果であった。Fontan術後症例においては、慢性腎障害の発生に注意し、それに準じた管理・対応が必要と考える。