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[II-OR28-03] 肺動脈性肺高血圧症を合併した先天性門脈大循環短絡の臨床像と治療戦略
Keywords:先天性門脈大循環短絡, 肺動脈性肺高血圧症, treat and repair
【目的】小児病院単施設における先天性門脈大循環短絡(CPSS)に合併した肺動脈性肺高血圧症(PAH)の臨床像について考察し、肺高血圧治療を先行させるtreat and repairの戦略について報告する。【方法】対象は2011年4から2016年12月までに国立成育医療研究センターを受診したCPSS 46症例のうち、PAHを合併した5症例(11%)。電子カルテを用い後方視的に検討した。【結果】結紮または塞栓術(repair)時年齢:4か月から9歳(中央値6歳)、男2例、左側相同2例。4/5例で右心不全を呈していた。CPSSに対しては、外科的治療が4例、コイル塞栓が1例で合併症なく施行できた。treat開始前の三尖弁逆流による右房右室圧較差(TRPG)は54-90(中央値77)mmHgであった。TRPG 50mmHg以下を目標とし、2例でエポプロステノール(Epo)、エンドセリン拮抗薬(ERA)、ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5I)の3剤、1例でEpo、PDE5Iの2剤、2例でERA、PDE5Iの2剤が使用した。高心拍出が予想されるため、1剤ずつsequentialに導入した。repair前の平均肺動脈圧18-44(31)mmHg、肺血管抵抗1.12-10.92(2.72) wood U・m2、肺血管抵抗/体血管抵抗 0.28-0.65(0.43)、心拍出量 4.03-7.19(6.71) l/min/m2であった(中央値)。現在も全例肺血管拡張薬は使用継続している。【考察】過去の報告ではCPSSのPAH合併は約30%であり、今回の合併率は低率であった。treat and repairの戦略は右心不全を改善させ全身麻酔のリスクを低減させ、結紮術時に前負荷が低下することによる急激な心拍出量の低下を防ぐことが目的で、有効かつ安全である。