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[II-OR28-04] 先天性横隔膜ヘルニア術後遠隔期の肺血管発育
Keywords:肺高血圧, 横隔膜ヘルニア, 血管発育
(背景)先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は、急性期治療の進歩により救命率の改善がみられるが、遠隔期の肺血管発育や肺血管拡張薬の効果についてエビデンスは乏しい。本症の肺循環障害は患側肺の血管発育不良と左右肺血流の不均衡に基づき、右室圧上昇を伴うことが少なく、心エコーでは評価が困難とされ、右心カテーテルの有用性がAHA/ATS小児PHガイドラインにも記載されている。(症例1)妊娠34週に胎児診断されたCDH、PDA合併。在胎37週3日帝王切開で出生。体重2544g。日齢11にCDH修復施行し退院後、生後9カ月まで在宅酸素療法を施行。エコーではPHの所見 はなし。4歳3カ月、PDAコイル閉鎖を行った。mPAP16, Rp3.08。肺動脈楔入血管造影(PAWG)では、患側の肺血管の著明な発育障害を認めた。(症例2)ASD合併例。在胎39週5日、経膣分娩にて出生後、チアノーゼが持続するため、当院に搬送された。左CDHと診断し、日齢9にCDH修復施行。術後sildenafilを開始した。エコー上、PHは認めず、生後13カ月でsildenafil投与終了。4歳11カ月でASDの評価のため、心カテを行った。mPAP 16, Qp/Qs 1.56, Rp1.36。血管造影上、患側の肺血管の低形成は比較的軽度であった。(考察)各症例における患側肺血管の発育障害の成因について、症例1は、胎児期の腸管脱出が証明された例であり、症例2は、出生後診断例で、胎内での肺低形成の程度は不明で、手術後sildenafilで治療した例である。遠隔期の肺血管発育には、体内での肺低形成の程度が大きく反映されると推定するが、一方で、肺血管拡張薬の血管発育に対する効果も考えられ、本疾患の長期管理において、今後、知見を集積すべき課題であると考えた。(結語)CDH術後の片側性肺循環障害では、慎重な経過観察が必要であり、正確な評価には右心カテーテル、血管造影が有用である。今後、重症救命例の増加に伴い、肺血管発育不良例の遠隔予後の確立や治療が課題となると考えた。