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[II-OR30-02] 当センターにおける心臓腫瘍35例の検討
Keywords:小児心臓腫瘍, 横紋筋腫, 線維腫
【背景・目的】小児心臓腫瘍はその発病率が0.002%-0.28%と稀な疾患であり,多くは原発性腫瘍で,その90%以上が良性腫瘍である.多くは結節性硬化症に伴う横紋筋腫であるが他には線維腫,粘液腫,奇形腫などが知られており,それぞれ診断の契機や腫瘍の性状,経過は様々である.今回,当センターにおける心臓腫瘍の特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】1983年4月より2017年1月までに当センターに心臓腫瘍で受診した児の特徴,治療経過,予後に関して診療録を用いて後方視的に検討した.【結果】対象となった児は35例(診断時年齢の中央値4か月,日齢0-11歳),横紋筋腫23例,粘液腫2例,線維腫2例,血管腫1例,転移性2例,不明5例であった.診断の契機は結節性硬化症の精査が18例,その他胎児エコー4例,新生児エコー2例,心雑音精査が3例,不整脈精査が3例,現病精査が2例,レントゲン検査異常精査,脳梗塞精査が1例ずつ,転移性心臓腫瘍では全身の転移巣精査が診断の契機であった.診断は心エコーとMRI検査,CT検査によって行った.単発性腫瘍は5例,経過中に不整脈を認めたものが12例(PAC, PVC, SVT)であり,流出/流入路狭窄を認めた3例のうちの2例と脳梗塞で発症した1例を併せた3例に腫瘍摘出術が施行された.経過中に腫瘍の増大を認める症例はなく,不変が20例,縮小が14例,消失が1例であった.【考察】当センターの心臓腫瘍は過去の報告と同様に横紋筋腫が多く,多くの症例で腫瘍の縮小,消失を認めた.その他稀な心臓腫瘍である粘液腫,線維腫,血管腫を認めたがいずれも増大を認めず外来で経過観察中である.診断の契機がスクリーニングや二次的検査であることが多い中で,不整脈や脳梗塞,死亡の危険性を含むため早期発見が重要である.