The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

心筋心膜疾患

Free Paper Oral 30 (II-OR30)

Sat. Jul 8, 2017 1:50 PM - 2:40 PM ROOM 5 (Exhibition and Event Hall Room 5)

Chair:Hiroshi Kamiyama(Center for Institutional Research and Medical Education, Nihon University School of Medicine)

1:50 PM - 2:40 PM

[II-OR30-04] 乳児期発症拡張型心筋症の予後

福山 緑1, 坂口 平馬1, 伊藤 裕貴1, 津田 悦子1, 鍵崎 康治2, 帆足 孝也2, 市川 肇2, 福嶌 教偉3, 白石 公1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓外科, 3.国立循環器病研究センター移植医療部)

Keywords:拡張型心筋症, 心臓移植, 乳児期

【はじめに】乳児期発症の拡張型心筋症の予後は悪く、心臓移植適応を考慮せざるを得ない症例も多く存在する。本法では臓器移植法が改定され15歳未満の小児からの臓器提供が可能になりさらにBerlin Heart社EXCOR®の臨床使用が可能になったが、ドナー不足という重大な問題を抱えている。【目的】乳児期発症の拡張型心筋症の臨床的特徴および予後不良因子を後方視的に検討し現状の問題点を明らかにすること。【方法】当院で2003年より診療を行った1歳未満発症の拡張型心筋症30例を対象に診療録をもとに後方視的に検討した。検討項目は発症月例、家族歴の有無、心臓超音波検査(2DE)指標、入院時のBNP値、治療内容とした。【結果】対象30例中、男児12例(40%)、発症月例は平均3.5ヶ月。2DEでの左室拡張末期径は平均171% of Normal、駆出率27.5%、BNP値 3520pg/mlであった。予後不良(死亡、人工心臓装着、心臓移植)は9例でその予後規定因子は発症月例が早いこと、2DE指標では入院時の左室拡張末期径や駆出率ではなく拡張能指標であるE/e’、治療内容ではカテコラミンの使用であった。また心臓再同期療法(CRT)が6例で行われ、5例は治療に反応し内科的にコントロールされた。人工心臓臓着、死亡をend-pointとするとKaplan-Meier法での5年生存率は67.5%、死亡をend-pointとすると93.1%であった。【結語】発症月齢が早く、左室収縮能低下に加え拡張能の悪い例ではその予後は悪く、人工心臓の装着により救命可能となった。しかし人工心臓装着7例中4例は未だ心臓移植待機中であり、本邦でのドナー不足解消が急務であるといえる。一方で乳児へのCRTの普及により、 responderには大きな治療効果をもたらした。今後は慢性期治療、特にβ遮断薬のよりよい導入方法、投与量について検討を行う必要がある。