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[II-OR30-05] 拡張型心筋症患者由来疾患特異的iPSを用いた疾患モデル作成の可能性
Keywords:心不全, 疾患特異的iPS, 拡張型心筋症
拡張型心筋症(Dilated cardiomyopathy:DCM)の分子メカニズムからのアプローチは動物由来の培養組織細胞や動物の個体を用いた研究が活発に行われ、不全心筋でのmicrotubuleの増生による収縮機能の低下など様々な分子メカニズムが提唱されてはいるが、種差によりヒトの疾患を正確に再現できていない可能性があり、今後新たなブレイクスルーが必要である。一方、iPS細胞技術を用いることにより、患者の遺伝情報を保持した心筋細胞が入手可能となり、ヒトの循環器疾患の病態を直接的に解析する試みがなされている。この技術は個体間の特徴を再現できる可能性があることから、今までほとんど報告されていない小児心筋症の病態解明へとつながる可能性がある。今回我々はDCM患者から作成したiPS細胞より心筋細胞(DCM-CM)を分化誘導し、健康人のiPS細胞から分化誘導した心筋細胞(normal-CM)と分子生物学的な比較を行い、疾患モデルとしての可能性を検討した。[方法]DCM患者、健康人より作成したiPS細胞に対し、低分子化合物を用いて心筋への分化誘導を行った。21日間分化誘導を行い、酵素処理でsingle cellに単離してさらに7日間培養を行った。培養した心筋細胞はトロポニンT、トロポニンI、デスミンでの免疫染色と第二次高調波(SHG)を用いた観察を行った。[結果]両者間でトロポニンT、トロポニンIの発現に差はみられなかったが、デスミンはDCM-CMでnormal-CMより発現の低下を認めた。SHGによる観察ではDCM-CMでnormal-CMよりもmicrotubuleの増生を認めた。観察されたサルコメア構造はDCM-CMでnormal-CMよりも減少していた。[まとめ]DCM患者由来iPS細胞から分化誘導した心筋においても、ヒト心不全心筋と同様の現象を認めたことから、疾患モデルとして妥当である可能性があり、今後DCMの病態解明やや年齢特異的メカニズム解明への応用が期待される。