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[II-OR32-03] 左心低形成症候群に対するNorwood手術後の大動脈形態と再狭窄の検討
キーワード:Norwood手術, 大動脈再建, 大動脈形態
【目的】左心低形成症候群(HLHS)に対するNorwood手術における大動脈形態および大動脈伸展性を評価すると共に術後再狭窄に検討を加えた。【対象】2010年1月~2016年8月までに当院においてHLHSに対するNorwood手術(Norwood+Glenn手術を含む)を施行した86人中、術後CTあるいは大動脈造影による形態評価を行った66例を対象とした。大動脈再建術式は、直接吻合法30例、グルタールアルデヒド処理自己心膜パッチ補填法27例、両側肺動脈をくりぬいて長く残した主肺動脈を用いた再建法(chimney法)が9例であった。【結果】術後大動脈造影あるいはCT側面像における計測で、大動脈弓の幅(W)≒高さ(H)であったもの(Romanesque :R型)30例、W>Hであったもの(Crenel :C型)20例、W<Hであったもの(Gothic :G型)16例であった。大動脈形態を再建方法別にみると、直接吻合法ではR型13例、C型6例、G型11例、パッチ補填法ではR型14例、C型9例、G型4例、chimney法ではR型3例、C型5例、G型1例となり、直接吻合法の場合にG型が多い傾向があった。術後カテーテル検査による収縮期圧較差あるいは心エコー検査における収縮期最大血流速度は、R型ではエコー流速・圧較差が有意に低く、G型ではエコー流速が高い傾向にあった。上行大動脈の拡張(Aortic index)や伸展性の低下については、大動脈形態あるいは大動脈再建術式別で差を認めなかった。外科的あるいはカテーテル的狭窄解除を行った大動脈再狭窄例はG型で多い傾向にあったが、再建術式別には差がなかった。【結語】Norwood手術後の再建大動脈の形態評価において、大動脈弓の幅と高さが同等のR型は流速が有意に小さく、幅が狭いG型では流速が高く、狭窄解除を行った症例が多い傾向にあった。直接吻合法では術後弓形態がG型になりやすかった。現在、われわれは自己心膜パッチ補填法あるいはchimney法を再建術式として採用しているが、遠隔成績については更なる検討が必要である。