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[II-OR37-01] 左心低形成症候群及びその類縁疾患の予後に関与する因子
キーワード:左心低形成症候群, PV還流/LA隔壁異常, AA/MA
【背景と目的】左心低形成症候群(HLHS)及びその類縁疾患(Variant)は、予後不良の疾患群である。予後に影響を及ぼす因子について検討した。【対象と方法】対象は、2004年~2014年に出生したHLHS63例とVariant45例(計108例)。全例Glenn術に先行してNorwood術+shunt(RV-PA/BT)を施行し、うち48例はNorwood術に先行して両側肺動脈絞扼術を施行した。2016年12月における生存率、Glenn達成率、Fontan達成率をKaplan-Meier曲線で求め、生存(達成)率に関与すると思われる因子でlog rank検定を行った。更にCox回帰解析により各因子によるハザード比を求めた。【結果】全体の生存率は58%、Glenn達成率は58%、Fontan達成率は41%。死亡(45例)のうち82%がGlennに到達していなかった。Log rank解析で生存率を下げた因子は、PV還流異常/LA隔壁異常(8% vs. 64%: p<0.0001)、AA/MA(43% vs. 72%: p=0.0007)、2010年までの出生(48% vs. 79%: p=0.0082)。出生週数(35週以下)、出生体重(2300g未満)、胎児診断、染色体異常/心外奇形、房室弁逆流、及び両側肺動脈絞扼術は、生存率に関与していなかった。上記因子でGlenn達成率に関与したのはPV還流/LA隔壁異常(17% vs. 63%: p<0.0001)のみ。Cox回帰解析では、死亡率増加のハザード比はPV還流/LA隔壁異常が4.9(p<0.001)、AA/MAが3.2(p<0.001)、2010年までの出生が3.2(p=0.001)。同様にGlenn非達成率増加のハザード比はPV還流/LA隔壁異常で5.5(p=0.019)。Glenn到達後に死亡した8例のうち7例はPV還流/LA隔壁異常又はAA/MA因子のいずれかを所有していた(87% vs. 38%: p=0.027)。【考察と結語】HLHS及びそのVariant疾患では、死亡した例の多くはGlennに到達していなかった。PV還流異常/LA隔壁異常又はAA/MAを有する群で有意に死亡率が増加していた。またGlenn到達後に死亡している例では、これら2因子のいずれかを有する率が非常に高かった。