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[II-OR38-05] 双胎間輸血症候群を呈さない一絨毛膜二羊膜双胎管理における胎児心機能評価の有用性
Keywords:胎児エコー, 一絨毛膜二羊膜双胎, 心機能
【背景】一絨毛膜二羊膜(MD)双胎に合併する双胎間輸血症候群(TTTS)ではQuintero分類による重症度評価が一般的であるが,受血児の心機能を必ずしも反映しないため,近年胎児心機能を加味した重症度分類が試みられている.またTTTSの診断基準を満たさない症例でも時に出生後TTTS様の臨床像を呈するため, 胎児心機能が出生後の臨床像の予測や妊娠継続の可否判定の重要な要素となり得るが,非TTTSの胎児心機能に関する報告はほとんどない.非TTTSのMD双胎管理における胎児心機能評価の有用性を検討した.
【方法】2014年11月より当院産科で胎児心エコー検査を行った非TTTSのMD双胎14妊娠28胎児を対象とした.推定児体重,拡張期心室壁厚,僧房弁・三尖弁ドプラ波形による流入時間と心周期の比(MVIFR, TVIFR),左室Tei Index(Tei),左室・右室内径短縮率(LVFS, RVFS),房室弁逆流の有無を経時的に測定し,非TTTS胎児の心機能を評価して出生後の心機能障害予測に有用な項目を検討した.
【結果】初回胎児心エコー検査は在胎26(22-33)週,心室壁肥厚を8児,MVIFR<0.38を5児,TVIFR<0.38を13児(うち単峰化3児),Tei>0.43を12児,LVFS<0.24,RVFS<0.18,中等度以上の三尖弁逆流を各々1児に認めた.体重差>15%となった3妊娠6児のうちTei>0.43を4児,RVIFR<0.18を4児に認め,体重差を認める児では高率に心機能障害を呈することが示唆された.継時的評価で明らかな心機能障害を来たし緊急帝王切開となった1児と,体重差があり初回より全項目で異常値を呈した1児が出生後抗心不全療法を要した.これら2児はいずれも初回検査より右室流入路波形が単峰化しており,RVIFR<0.38であったが,前者ではその他の所見に異常を認めなかった.
【結論】MD双胎は,非TTTSでも胎児期に心機能障害を来たす例が多く,体重差を認める例ではさらに高率であった.出生後の心機能障害は,胎児エコーでの右室流入波形異常から推測できる可能性がある.
【方法】2014年11月より当院産科で胎児心エコー検査を行った非TTTSのMD双胎14妊娠28胎児を対象とした.推定児体重,拡張期心室壁厚,僧房弁・三尖弁ドプラ波形による流入時間と心周期の比(MVIFR, TVIFR),左室Tei Index(Tei),左室・右室内径短縮率(LVFS, RVFS),房室弁逆流の有無を経時的に測定し,非TTTS胎児の心機能を評価して出生後の心機能障害予測に有用な項目を検討した.
【結果】初回胎児心エコー検査は在胎26(22-33)週,心室壁肥厚を8児,MVIFR<0.38を5児,TVIFR<0.38を13児(うち単峰化3児),Tei>0.43を12児,LVFS<0.24,RVFS<0.18,中等度以上の三尖弁逆流を各々1児に認めた.体重差>15%となった3妊娠6児のうちTei>0.43を4児,RVIFR<0.18を4児に認め,体重差を認める児では高率に心機能障害を呈することが示唆された.継時的評価で明らかな心機能障害を来たし緊急帝王切開となった1児と,体重差があり初回より全項目で異常値を呈した1児が出生後抗心不全療法を要した.これら2児はいずれも初回検査より右室流入路波形が単峰化しており,RVIFR<0.38であったが,前者ではその他の所見に異常を認めなかった.
【結論】MD双胎は,非TTTSでも胎児期に心機能障害を来たす例が多く,体重差を認める例ではさらに高率であった.出生後の心機能障害は,胎児エコーでの右室流入波形異常から推測できる可能性がある.