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[II-P18-04] 総動脈幹症の初回手術の変遷に伴う術後経過に関する検討
キーワード:総動脈幹症, 遠隔期予後, Rastelli型手術
【背景】総動脈幹症(TAC)は新生児期にRastelli手術(R術)を要するが新生児早期の開心術は侵襲が強く予後へ影響を及ぼす。我々の施設では2010年から新生児早期の一期的R手術から肺動脈絞扼術(PAB)を先行する二期的な早期R術へと手術方針を変更している。【目的と方法】初回手術方法の変更に伴う術後経過について、当院に通院歴のあるTAC 29例(hemi truncus、1心室修復適応は除く)に対し診療録より後方視的に検討した。【結果】観察期間は中央値8y1m(5m-40y7m)。経過中に死亡5例(術早期死亡1例)。病型分類はCollett-Edwards分類で1型:18例、2型:11例。染色体異常合併症例は5例。初回手術の内訳は、PAB15例、R術14例。初回PAB群のR術までの期間は中央値2m(15d-11m)、re-R術を施行例は7例でre-R術までの期間は中央値3y10m(6m-65m)。初回R群はre-R術までの期間は中央値3y4m(3m-15y)。カテーテル治療例は、PAB群6例、R術群9例。総動脈幹弁に治療介入を要したもの9例。PAB群5例(重度の総動脈幹弁の逆流のため一期的R術を回避した症例を含む)、R群4例(初回手術時の弁置換2例を含む)。PAB術前後の超音波検査で顕著な悪化は認めなかった。発達・神経学的所見に異常を認めた(染色体異常を除く)のはPAB群2例、R術群2例であった。【考察】PABを先行する二期的な早期R術は一期的R術と比較し神経学的予後においては大きな違いを認めなかった。PABに伴う肺動脈狭窄は術後に影響を及ぼさなかった。一期的R術では人工血管と左右肺動脈との吻合部狭窄をきたしカテーテル治療を要する症例が多かった。二期的な早期R術は、術後の治療介入の回数を軽減でき予後を改善する可能性があると考える。