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[II-P18-06] Double Aortic ArchとPulmonary sling合併例を経験し、発生・治療方針に関して見えてきたこと
Keywords:血管輪, 重複大動脈弓, PA sling
【背景】Double aortic arch(DAoA), Pulmonary sling(PSl)はそれぞれ血管輪を形成し, 気道・食道狭窄をきたすことで知られている. 今回, これら2種類の血管輪合併例を経験したが, 調べえた限りで両者の合併例の報告はなく, 発生・治療方針を考える上でも重要な知見が得られた. 【症例】在胎37週4日:羊水過多あり, 当院産科で十二指腸閉鎖を指摘. 2日後の胎児心エコーでVSD, Rt.AoA, Lt.PDA, bilat SVC疑い. 在胎40週4日, 2662g自然分娩で出生した. 心エコーでVSD, DAoA, CoA of Lt.AoA, LSVCと診断. 日齢1:十二指腸閉鎖に対する根治術を施行. 日齢16:CT検査でDAoAに加えてPSl合併, 気管分岐異常判明. 通常左PAと考えられている血管から右肺への分枝あり. 日齢18:食道造影では後方からの圧排あり. 月齢2:心臓カテーテル検査. Qp/Qs 2.5, mean PAP 22mmHg, Rp1.5WU・m2. CT検査でDAoAによる圧排は気管に比して食道で軽度. PSlによる気管圧排は初回CTよりもやや増強. 月齢3:呼吸は吸気時わずかに狭窄音を認めるのみであったが, VSDパッチ閉鎖、LtAoAとPDA切離, LPA植え替え術を施行. 術後抜管困難はなく, その後も食道通過障害や有意な気道狭窄症状なく経過良好. 【結論】DAoAとPSlを合併した極めてまれな血管輪症例を経験した. PSlではLt.PAがRPAより起始すると考えられてきたが、CT所見からはMPAが長く気管背側まで延長したことが問題と考えられた。本症例では両者を合併し, 高い気道狭窄リスクが想定され, 早期に手術介入を行った. その結果, 明らかな気道症状, 通過障害などの合併症なく, 良好な結果を得ることができた.