第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

染色体異常・遺伝子異常

ポスター (II-P19)
染色体異常・遺伝子異常 2

2017年7月8日(土) 18:15 〜 19:15 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:渋谷 和彦(東京都立小児総合医療センター循環器科)

18:15 〜 19:15

[II-P19-05] 大動脈拡張に脳室周囲異所性灰白質を合併したFLNA遺伝子変異の女児例

大下 裕法, 堀 いくみ, 中村 勇治, 家田 大輔, 根岸 豊, 篠原 務, 服部 文子, 加藤 丈典, 犬飼 幸子, 齋藤 伸治 (名古屋市立大学 大学院医学研究科 新生児・小児医学分野)

キーワード:大動脈拡張, 脳室周囲異所性灰白質, FLNA

【背景】FLNAはXq28に位置し細胞骨格や運動に関係するアクチン結合蛋白質であるFilamin Aをコードする遺伝子である。脳室周囲異所性灰白質の原因遺伝子として知られているが、同時にその変異により動脈管開存、心臓弁膜症、上行大動脈やvalsalva洞拡張、大動脈瘤などの心血管系の異常を来すことも報告されている。【症例】4歳女児。出生時より腹壁ヘルニア、横隔膜弛緩症、陰唇癒合症を認めた。2カ月時に動脈管開存症と大動脈閉鎖不全軽度と診断され、経過観察中11カ月時の心エコーで上行大動脈の拡張が認められた。1歳時に動脈管結紮術を施行。1歳7カ月で歩行が未獲得であったため、運動発達遅滞の原因検索として頭部MRIを施行したところ、両側側脳室周囲の異所性灰白質を認めた。大動脈拡張と脳室周囲異所性灰白質の合併からFLNA遺伝子解析を行ったところ、ヘテロ接合性のナンセンス変異(p.Glu541X)を同定した。両親には変異を同定せず、de novo変異であった。また、血小板減少も認められた。経過中、上行大動脈拡張は進行傾向を示し、併せて肺動脈拡張も認められ現在観察を継続している。【考察】FLNA遺伝子は多系統の組織に発現し、その機能低下により脳室周囲異所性灰白質、難治性出血傾向を示す巨大血小板性血小板減少症、エーラース・ダンロス症候群など多彩な合併症を伴う。心合併症は大動脈の拡張や心臓弁膜症などで進行し手術を要する例も報告されている。大動脈拡張に運動発達遅滞やてんかんを合併する例では脳室周囲異所性灰白質の検索やFLNAの解析を考慮する。