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[II-P26-04] Fontan術後5年で肝硬変を発症したHLHSの一例
Keywords:Fontan手術, 術後合併症, 肝硬変
【はじめに】近年、Fontan手術後の遠隔期合併症として肝合併症が知られており、中でも肝線維化、肝硬変などの報告が増加している。慢性的なCVPの上昇に伴う肝うっ血が原因の一つと考えられるが、その頻度や機序については不明な点が多い。今回、Fontan手術5年後に肝硬変を合併し、高度な三尖弁閉鎖不全(TR)に対して弁置換術を施行したHLHSの1例を経験した。【症例】HLHS(MA, AA)の女児。日齢9にm-Norwood、5ヶ月にm-BDG+TV plasty、2歳9ヶ月にFontan(Extracardiac TCPC)+re-TV plastyが施行された。TV plastyを経てTR I~II°で推移、Fontan術後1年ではIVC圧12mmHgと術前と比較し上昇はなかったが、その後は経年的にTRの増悪を認めた。Fontan術後5年の肝臓エコーでは結節状に不整な肝表面と不均一で斑状な高輝度所見を認め、腹部dynamic MRIでは肝内網状低信号と線維化が指摘され肝硬変と診断された。肝逸脱酵素異常は認めなかったが、肝線維化マーカー(ヒアルロン酸、IV型コラーゲン7S)は高値、AFP上昇はなく肝細胞癌の所見は認めなかった。Fontan術後8年でのIVC圧14mmHgと著明な上昇はなかったがTRの増悪を認め、高度なTRが肝うっ血の増悪因子と考えられた。肝硬変進展予防に分岐鎖アミノ酸製剤を開始、Fontan術後8年で三尖弁置換術を施行した。術後はCVPの低下、TRの改善を認め、肝線維化マーカーも低下傾向にある。【考察】慢性的なCVP上昇を伴うFontan循環ではうっ血肝から肝類洞圧上昇により肝線維化を来し、肝硬変へ進展するものと考えられている。加えて高度なTRの存在はより肝硬変の更なる進展のriskが高く、肝うっ血を助長する合併症のあるFontan術後症例に対しては早期に治療介入することで症状軽減できる可能性があると考えられた。またFontan術後は抗凝固療法を行っている場合が多く、経皮肝生検による診断は困難であるため、非侵襲的な肝臓エコーや腹部MRIの定期followが早期発見には重要である。