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[II-P26-05] 無脾症候群を伴ったFontan患者の肝機能
Keywords:無脾症候群, Fontan, 肝鬱血
【背景】脾臓は腹部の最大級の臓器のひとつであるが、無脾症候群(Riso)には存在しない。我々は、Fontan術後のRiso患者では、脾臓がないために肝臓に鬱血をより来しやすいのではないかと予測した。【目的】Fontanに到達したRisoの肝機能について検討。【方法】対象は2010~2015年に心臓カテーテル検査を施行したFontan術後のRiso36例。対照群は同時期に検査を施行したFontan168例(多脾症候群は除いた)。2群間で、routine血液検査結果、血行動態因子を比較した。【結果】検査時年齢は両群間で差がなかった。血液検査では、Riso群が非Riso群に比べてGGT値は高値(118 vs. 66 IU/l: p<0.001)、T-bil値が高い(≧0.9 mg/dl)例が多かった(63% vs. 38%: p=0.0016)。また、ALT値が高い(≧32 IU/l)例が多かった( 33% vs. 17%:p<0.001)。血小板数はRiso群で多かった(28.8 vs. 21.8 x104μl: p<0.00001)。TP、Alb値は両群間で有意差はなく、腎機能指標も差はなかった。心機能因子では、Riso群で強い房室弁逆流を有する率が高く、主心室の拡張末期容積、収縮末期容積が有意に大きかった。しかし、主心室の拡張末期圧(9.3 vs. 8.2 mmHg)、駆出率(49% vs. 52%)は両群間で有意差がなかった。肺循環因子では、PA Indexは両群間で有意差がなかった。Riso群では肺血管抵抗はむしろ低く(1.3 vs. 1.6 U・m2: p=0.026)、中心静脈圧は非Riso群と同等であった(12.8 vs. 12.2 mmHg)。【結語】Riso群で血小板数が多かったのは、血小板をtrapする腫大した脾臓が存在していないからと考えられる。対照的にT-bil値、GGT値がRiso群で高値であり、Riso群で肝鬱血がより強いことが示唆された。主心室の拡張末期圧、中心静脈圧が両群間で差が無く、Riso群で肝鬱血が強いのは心肺循環の影響ではなく、鬱血を受け止める大きな脾臓がないからかも知れない。Riso群ではFontan後は肝機能の追跡がより必要である。