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[II-P26-08] フォンタン術後遠隔期において、肺動脈の径は予後に影響するのか?
Keywords:フォンタン手術, 術後遠隔期, PA index
【背景】フォンタン術後急性期の予後に肺動脈径が影響するとの報告はあるが、遠隔期の予後との関係を調べた報告は少ない。【目的】フォンタン術後遠隔期において肺動脈径と予後に関連があるかを明らかにすること。【対象と方法】当院でフォローアップ中のフォンタン術後症例のうち、術後10年以上の遠隔期カテーテル検査を施行した76症例を対象とした。血行動態的な予後として、最近に施行したカテーテル検査におけるPA index(PAI), cardiac index(CI), CVP値を調べ、PAI200未満をA群、PAI200以上をB群とし、CIとCVPについて2群間で比較した。また臨床的な予後として、PLE,心不全などの予定外入院の既往を2点、利尿剤・肺血管拡張剤の使用、在宅酸素の使用、SpO2 90%未満、をそれぞれ1点として、合計点数が2点以上を臨床経過的予後不良群、2点未満を予後良好群とし、PA indexを2群間で比較した。【結果】全76症例のフォンタン手術時年齢は1-15歳(中央値3歳)、カテ時年齢は11-30歳(17歳)、カテ時の術後年数は10-25年(13年)、PAIは114-466(217)、CIは1.9-5.9(3.0)、CVPは5-16mmHg(12mmHg)であった。A群31例、B群45例の比較では、CI:3.1±0.76 vs 3.2±0.88, CVP:12±2 vs 12±2mmHg で、いずれも有意差を認めなかった。また、予後不良群は19例、予後良好群は57例で、2群間の比較においてPAIはそれぞれ114-466(194) 平均228 vs 120-451(219) 平均 232 で、予後不良群の方がやや小さい傾向はみられたが有意ではなかった。【考察】術後遠隔期において、血行動態的な予後および臨床経過的な予後ともに肺動脈径との関連は認めず、フォンタン循環の遠隔期予後には肺動脈の径は影響しないと考えられる。しかし、今回の検討では運動耐用能や日常生活の活動度などは検討しておらず、動的な臨床予後との関連は不明であり、今後検討すべき課題である。【結語】フォンタン術後遠隔期において、肺動脈の径は予後に影響しない。