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[II-P26-10] Fontan術後の肝線維化バイオマーカー(Mac2結合蛋白糖鎖修飾異性体)についての検討(第二報)
キーワード:Mac2結合蛋白糖鎖修飾異性体, 肝線維化マーカー, Fontan術後
【背景】近年、新たな血清バイオマーカーであるMac2結合蛋白糖鎖修飾異性体(以下 M2BPGi)が、肝線維化マーカーとして有用であると報告されている。一方、Fontan術(以下 F術)後の長期生存例の増加に伴い、肝線維症や肝硬変などの遠隔期合併症が注目されており、肝線維化から肝硬変の進展を防ぐことが重要とされる。【目的】F術後の肝線維化バイオマーカーとしてのM2BPGiの有用性を評価する。【方法】F術後患者53例(年齢2~37歳(中央値 14歳))を対象とし、2015年1月1日から2017年1月1日において血清M2BPGiを測定した(判定; カットオフインデックス(C.O.I.) 1.00未満を陰性、1.00~3.00未満を陽性(1+)、3.00以上を陽性(2+)とする)。そのうち24例で心臓カテーテル検査を施行し、平均肺動脈圧を測定した。M2BPGiの測定に加えて48例でヒアルロン酸(HA)、24例で4型コラーゲン(4C)を測定し、33例で腹部超音波検査にてうっ血肝や肝硬変所見の有無を評価した。【結果】M2BPGiの中央値は 0.34(0.19~4.39)であり、陰性 51例、陽性(1+) 1例(1.23)、陽性(2+) 1例(4.39)であった。M2BPGiと平均肺動脈圧(7~21mmHg:中央値 9.5mmHg)とに相関は認めず(相関係数 0.01)、HA(中央値 28ng/ml)と4C(中央値 205ng/ml)もM2BPGiとの相関を認めなかった(相関係数:HA 0.12、4C 0.18)。腹部超音波検査を施行した33例のうち12例でうっ血肝、1例で肝硬変を示唆する所見を認めた。軽度うっ血肝を認めた1例でM2BPGi 陽性(2+)であった。【考察】平均動脈圧やF術後の肝線維化の指標とされるHAや4Cとも相関関係を認めなかったことから、M2BPGiはF術後の肝線維化の指標となる可能性は低いと考えられた。腹部超音波検査でうっ血肝や肝硬変を示唆する所見を認めた多くの症例でM2BPGiは陰性であったことから、F術後の腹部超音波検査所見と肝線維化は必ずしも一致しない可能性が考慮された。