The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

川崎病・冠動脈・血管

Poster (II-P29)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Etsuko Tsuda(National cerebral and cardiovascular center)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P29-01] 冠動脈移植術後に冠動脈瘤を形成した左冠動脈肺動脈起始の1例-造影CTによる経時的冠動脈形態の評価-

坂田 晋史1, 中嶋 滋記1, 城 麻衣子2, 藤本 欣史2, 安田 謙二1 (1.島根大学 医学部 小児科, 2.島根大学 医学部 心臓血管外科)

Keywords:左冠動脈肺動脈起始, 冠動脈瘤, 冠動脈移植術後

【背景】近年、左冠動脈肺動脈起始(ALCAPA)の外科治療後に、冠動脈瘤を形成した症例の報告が散見されるが、発症機序については十分な知見がない。今回、冠動脈移植術後に冠動脈瘤を形成したALCAPAの1例を経験した。造影CTを用い、術前から冠動脈形態の変化を経時的に評価し得たので報告する。【症例】14歳女性。生来健康。運動時に心肺停止となり、心肺蘇生、AEDが施行され蘇生し、神経学的後遺症なく回復した。精査でALCAPAと診断され、発症17日目に左冠動脈移植術が、また術後吻合部狭窄があり、初回手術後10か月で左冠動脈主幹部形成術、再移植術が施行された。造影CTは初回手術前、初回手術後3か月、10か月、2年の4回撮影した。術前左冠動脈前下行枝(LAD)は7mm大、左冠動脈回旋枝(LCX)は5mm大と拡張していた。術後は前下行枝、回旋枝とも拡張の退縮を認めたが、第一対角枝分岐部直後に5mm大、LADとLCX分岐部からLCXにかけて6mmの拡大が残存し瘤を形成した。一方、右冠動脈は術前seg1で径7mm大と拡張していたが、術後経時的に退縮し、退縮課程で拡張の残存は認めず、冠動脈瘤は形成しなかった。【考察】ALCAPA術後にみられた冠動脈瘤は、術前に拡張していた冠動脈が、術後の拡張退縮課程において一部退縮が進まず残存したものと思われた。また術前生理的血流方向とは逆の血流を受けていた左冠動脈にのみ瘤形成を認めたことから、術前の非生理的な逆行性血流が冠動脈瘤形成に関与した可能性が示唆された。【結語】ALCAPA術後にみられる冠動脈瘤は、術前の拡張が部分的に残存し瘤形成した。瘤形成には術前からの非生理的逆行性血流が関与している可能性がある。