6:15 PM - 7:15 PM
[II-P30-01] 肥満小児の内臓脂肪蓄積と血圧の関係-小児期からの心血管病予防を目指して-
Keywords:高血圧, 肥満, 腹囲身長比
【背景】近年、小児肥満は世界的な問題であり、腹部肥満は心血管病の危険因子(RF)とされている。高血圧も古典的なRFであり、小児の高血圧はトラッキングするため、将来の心血管病の増加をもたらすと予想される。【目的】肥満小児において、高血圧と腹部肥満の関係を検討した。【方法】対象は、6歳から15歳の初診の原発性肥満130名(男81名、女49名、平均年齢10.3±2.2歳)である。身体測定を行い肥満度・腹囲身長比(腹囲(cm)/身長(cm)) を算出し、血圧を測定した。小児期メタボリックシンドローム診断基準に基づき、収縮期血圧125mmHg以上かつ/または拡張期血圧70mmHg以上を高血圧群、他を正常群とした。さらに82名(男58名、女24名)では腹部CTを行い、内臓脂肪面積(V(cm2))と皮下脂肪面積(S(cm2))を測定した。【結果】全例が腹囲身長比0.5以上の腹部肥満であった。高血圧群は男児18名、女児14名であった。高血圧群は正常群と比較して、男児では肥満度(62.1±27.1 vs 40.0±15.1, p<.0001)、腹囲身長比(0.64±0.06 vs 0.59±0.05, p=0008)が有意に高値であり、女児でも肥満度(55.8±15.1 vs 40.5±13.2, p=0.0016)、腹囲身長比(0.60±0.05 vs 0.57±0.04, p=0.0337)が高値であった。さらに、高血圧群は正常群と比較して、男児ではV(81.5±29.0 vs 59.0±23.7, p=0.041)、S(343.3±130.9 vs 245.3±86.4, p=0.0017)ともに高値であり、女児ではS(326.2±93.6 vs 233.4±64.9, p=0.00125)が高値であった。【考察】RFには年齢や性別などコントロール不可能なものと、高血圧・脂質異常症・肥満・喫煙・運動不足などコントロール可能なものがある。今回、男児の高血圧群では腹囲身長比・V・Sが増加しており、過剰な内臓脂肪蓄積を反映する腹部肥満は、小児期から血圧を上昇させると考えられた。【結論】腹囲測定の普及による小児期からの腹部肥満対策が、将来の心血管病予防に繋がると考えられた。