The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Educational Lecture(multiple job category)

Educational Lecture(multiple job category) (II-TREL)

Sat. Jul 8, 2017 8:50 AM - 9:50 AM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:●● ●●(●●)

8:50 AM - 9:50 AM

[II-TREL-01] 小児体外循環の病態生理‐チアノーゼ疾患の体外循環マネジメント‐

大島 弘之1, 東條 圭一1, 古平 聡1, 宮地 鑑2 (1.北里大学病院 ME部, 2.北里大学病院 心臓血管外科学)

Keywords:Cardiopulmonary Bypass, Cyanotic heart disease, collateral circulation

はじめに
 先天性心疾患に対する治療は、術前診断や周術期管理の向上、外科手術手技の発展、体外循環システムの改善により手術成績は向上している。その中で、我々臨床工学技士として小児体外循環の病態生理を理解し、体外循環を適切に管理することは、手術成績を左右する一因となり得る。
体外循環のポイント 
 小児体外循環では多岐にわたる先天性心疾患の循環動態を理解することが大切である。先天性心疾患では、ほとんどがシャントの存在や心房、心室、大血管の位置関係によりQp/Qs=1とならず、体血管抵抗および肺血管抵抗のバランスにより各臓器血流が変化する。またチアノーゼ性心疾患では、側副血行路の存在に注意しなければならない。そして、体外循環離脱時の循環動態も把握し、段階的手術の途中なのか、根治術なのかを理解する必要がある。
体外循環の実際
 体外循環開始時、チアノーゼ性心疾患ではSvO2が極端に低値なこともあり吹送ガス設定に注意する。部分体外循環中はPDAの有無、側副血行路などを考慮し、体血流が低灌流とならないようSvO2、rSO2灌流圧などで評価を行う。上下大静脈にタニケットをし完全体外循環に移行した時は、脱血不良やCVP上昇に注意するとともに、動脈圧の脈圧の程度により側副血行路の量を大まかに把握することができる。大動脈遮断中は、側副血行路により、ベント量を把握しながら体血流が低灌流とならないようSvO2、rSO2灌流圧などで評価を行い、適宜灌流量の調節、血管拡張薬の使用、輸血などを考慮する。ベント量が多く無血視野の確保が困難な場合は低体温とし灌流量を下げることも考慮する。大動脈遮断解除後は左心室容量負荷に注意しながら、TEEにて心臓の動きを見ながら離脱操作を行う。また体外循環離脱時の循環動態を考慮しHct値を調整し、術前状態や手術侵襲などで肺血管抵抗が高いことも考慮し血管拡張薬の投与も考慮する。