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[II-TRO1-04] 重症先天性心疾患のある子どもの成長・発達の遅れに関する母親の思い
キーワード:先天性心疾患, 発達, 発達支援
【目的】重症先天性心疾患児が成人に達するようになり、学童期以降の精神運動発達の遅れが高頻度であることが指摘されている。本研究では重症先天性心疾患のある子どもの成長発達に関する母親の思いを明らかにすることを目的とした。【方法】質的帰納的研究。A病院小児循環器外来に通院する3~7歳の患児の母親に、重症先天性心疾患児の成長発達に関する思いについて半構成的面接を実施し、カテゴリーに分類した。乳幼児精神運動発達診断法(津守・磯部式)を用いて子どもの発達評価を実施。研究への参加は自由意志であることなどを説明し同意を得た。所属施設の倫理委員会の承認を得た。【結果】対象となった6事例の母親の年齢は27歳~41歳、児は3歳1ヵ月~7歳4ヵ月であり、フォンタン手術(修復術)を受けていた。発達評価では3名に発達項目ごとの発達年齢に偏りがあった。母親の思いとして、児が乳児期の頃は《治療による成長発達の遅れの印象》を感じ、幼児前期には修復術に向けて《体重を増やさなければいけないプレッシャーと焦り》があった。幼児後期には《就園して普通の子の発達に追いついて欲しいという期待》を持って始まった集団生活の中で、《他児とのかかわりの中でいつかは発達が追いつくだろうという期待》を持ち続けていた。母親は子どもの発達への心配を相談できず、幼児後期になって《発達の遅れの大きさを指摘されたことによる衝撃》を受けていた。一方、修復術後より小児神経外来でフォローを受けている事例では、《発達経過の整理による子どもなりの成長の実感》と《子どもの可能性を広げていきたいという希望》を持てるようになっていた。【考察】幼児後期になってから発達の遅れに対する指摘に対して衝撃を受けていたことからも、重症先天性心疾患児は発達の遅れのリスクがあることを念頭に置き、継続して子どもの発達を評価する機会を持つことで、発達を見守り支援に繋げる必要がある。