第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

周手術期・遠隔期

一般口演(多領域専門職部門) 2 (II-TRO2)
周手術期・遠隔期

2017年7月8日(土) 14:50 〜 15:50 第2会場 (1F 展示イベントホール Room 2)

座長:三浦 稚郁子(日本心臓血圧研究振興会榊原記念病院 看護部)

14:50 〜 15:50

[II-TRO2-05] 術後脳障害が生じた患児の家族への看護介入

成田 智美1, 鈴木 真裕子1, 橘 舞1, 明石 沙百合1, 鎌田 理恵子1, 小渡 亮介2, 大徳 和之2, 鈴木 保之2, 福田 幾夫2, 福井 眞奈美1 (1.弘前大学医学部附属病院 1病棟5階, 2.弘前大学医学部 胸部心臓血管外科)

キーワード:心臓術後, 低酸素脳症, 看護師

【はじめに】近年、医療技術の向上により心臓疾患患児の救命率が改善してきたが、増加しつつある問題として心臓手術後に脳障害が生じた患児と家族への看護介入がある。問題自体も繊細であるため対応には難渋する。今回術後に重度の障害を負った患児の家族に対する看護介入を経験した。転院の意思決定までを振り返り、その様な家族にどのような関わりが必要かを明らかにすることが本報告の目的である。倫理的配慮として、対象者の同意を得た。【症例】12歳女児。肺動脈閉鎖、心室中隔欠損、主要体肺動脈側副血行に対し段階的手術後、9歳時に肺動脈形成術と姑息的右室流出路再建術を施行したが低酸素脳症による障害が残存した。患児は四肢麻痺状態で、人工呼吸器離脱ができず気管切開後、最初の一年間は体位変換や吸引による刺激で呼吸状態が悪化するなど不安定な状態が続いた。家族は不安や不信感が強く、統一された看護ケアが提供されていないことを状態変化の一因と考え、治療や看護に対する要望が多かった。看護師は状態変化の理由や今後の見通し等を明確に出来ない状況の中で看護し、看護の目的が患児の状態改善よりも家族の意に沿う様になっていた。家族と看護師・医師がチームとして現状を共通認識する必要性を感じ、患児専用ノートを作成しそれぞれの意見と対応等を記載した。その結果、問題点が明確化し、今後の治療方針を定め、患児の目標を共通認識しながら家族へ働きかけ、家族も状況を理解することができた。術後3年目を迎え、患児は状態が安定し、家族は計画的に患児のケアに参加し、転院を受容できるようになった。【まとめ】術後に重度の障害が生じた患児と家族へ共感中心の看護は重要だと考えるが、今回は専用ノート作成をきっかけとし、目標を明確化し、達成していくことで信頼関係獲得に繋がった。家族、看護師、医師が同じ目標に向かえるように、段階的な看護介入をしていくことが重要である。