The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral(multiple job category)

ケア実践・チーム連携

Free Paper Oral(multiple job category)3 (II-TRO3)

Sat. Jul 8, 2017 4:10 PM - 5:10 PM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Yuriko Murayama(Seirei Hamamatsu General Hosital)

4:10 PM - 5:10 PM

[II-TRO3-04] 小児補助人工心臓装着中の看護-EXCOR5症例を経験して-

長野 美紀1, 小西 伸明1, 坪井 志穂1, 笹川 みちる1, 小濱 薫1, 坂口 平馬2 (1.国立循環器病研究センター 看護部, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器科)

Keywords:小児補助人工心臓, 成長発達, 貫通部管理

【はじめに】補助人工心臓の進化により、2015年8月よりBerlin Heart社製EXCOR(以下EXCORとする)が保険償還され、A病院ではこれまで5症例のEXCOR装着中の患児の看護を経験した。今回、看護記録を後方視的に振り返り小児補助人工心臓装着中患児の看護の示唆を得たため報告する。発表は当該看護部の承認を得た。
【結果】5症例は、男1人女4人で装着時の年齢は2か月~3歳であった。成人のポンプと比較し、EXCORは小さく送脱血管も細いため血栓ができやすく、また構造上、血栓の観察がしづらい特徴がある。PT-INR 2.7~3.2を目標として抗凝固療法を行い、2時間毎のポンプ血栓と血栓塞栓症状の観察に努めた。小児では、術後心不全の改善とともに、食事摂取量が急激に増加しINR値のコントロールが難しく症状を自分で訴えることができないため、凝固機能の把握と密な観察を行い脳出血の発症は1例のみであった。創傷管理では、患児が寝返りや予測不可能な動きをするため、送脱血管の貫通部の皮膚が悪化しやすい。そのため、ガーゼとテープで高さを工夫し、貫通部の動揺が少ない固定を行い、可能な限り早期に送脱血管と皮膚が固着するように努めた。児の成長発達を促進できるよう離床時にポンプの動揺を防ぐためのポンプ固定用の袋を作成した。またドライブラインが短いため、児の活動状況に合わせたベッドや椅子の選択を行い、座位や立位などのリハビリができる環境づくりに努めた。現在、2例が心臓移植を実施し、3例が心臓移植待機で経過中である。
【考察・結論】小児補助人工心臓装着中患児の看護のポイントは、1.凝固機能の把握と血栓の早期発見、2.神経脱落症状の早期発見、3.送脱血管貫通部の創傷管理、4.成長発達を促すリハビリの実施と考えられた。創部の悪化は、感染の原因となり凝固機能に大きく影響することや活動制限につながるため、今後は送脱血管の動揺が最小限になる固定方法を検討していくことが課題である。