The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral(multiple job category)

移行期・成人期支援

Free Paper Oral(multiple job category)4 (II-TRO4)

Sat. Jul 8, 2017 5:10 PM - 6:00 PM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Ryota Ochiai(●●)

5:10 PM - 6:00 PM

[II-TRO4-01] 国の社会資源が成人先天性心疾患患者の不安・うつに及ぼす影響 ― 国際調査の結果から ―

榎本 淳子1,2, 水野 芳子2, 岡嶋 良知2, 川副 泰隆2, 武智 史恵2, 森島 宏子2, 松尾 浩三2, 丹羽 公一郎2,3, 立野 滋2 (1.東洋大学 文学部, 2.千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部, 3.聖路加国際病院)

Keywords:先人先天性心疾患, 不安・うつ, 社会資源

【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者が不安やうつの症状を呈しやすいことは、国際的にも示されている。しかし各国の不安やうつの特徴について包括的な調査は行われていない。【目的】本調査では15ヶ国における国際調査をもとに、1.各国のACHD患者の不安・うつの特徴を示し、2.それらと各国の医療資源や社会保障との関連を検討する。【方法】対象者:15ヶ国 のACHD患者3279名、平均年齢34.8歳。調査内容:不安・うつ、生活満足度等に関する質問紙調査。さらに経済開発機構の統計データから医療資源や社会保障の情報を得た。【結果】不安とうつの特徴によって15ヶ国を分類するため、対象者の不安・うつの得点を標準化し、Ward法・クラスタ分析を行った。その結果、不安・うつのタイプとして4つのクラスタ(群)を得た(1.不安・うつ高群:フランス・カナダ・アルゼンチン・アメリカ、2.うつ低群:ノルウェー・ベルギー・マルタ・オーストラリア、3.うつ高群:日本、台湾、インド、4.不安・うつ低群:オランダ・スウェーデン・イタリア・スイス)。4群の特徴として、生活満足度は不安・うつ低群で高く、うつ高群で低かった。またクラメールの連関係数から、不安・うつ高群は主にアメリカ大陸、うつ高群はアジア大陸、一方でうつ低群、不安・うつ低群は主にヨーロッパ大陸の国々であった(r=.78)。4群と医療資源の関連について相関比を求めたところ、不安・うつ高群、うつ高群で医師数(η2=.72)、看護師数(η2=.29)が少なく、また社会保障との関連については不安・うつ高群、うつ高群で総医療費に占める一般政府医療支出が低く(η2=.29)、うつ高群で公的社会保障支出が低かった(η2=.47)。【考察・結論】ヨーロッパ諸国において患者の不安・うつ症状は低く、さらに医療資源や社会保障が恵まれていることが示された。不安・うつの予防に関しては、患者個人への直接的な支援のみならず、各国の社会資源を充実させることも重要である。