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[II-TRO4-02] 複雑心奇形術後の患児に対する成人への移行支援における看護の役割の検討-思春期以降の患児の病気の認識に関するアンケート調査の結果から-
Keywords:移行支援外来, 先天性心疾患患児, 病気に対する知識
【背景】先天性心疾患を持つ患児に対して,多職種協働で「移行支援外来」を開始した。移行支援における看護を検討するにあたり,病気の認識等の現状に関するアンケート調査を行った。ここでは,複雑心奇形術後の患児への病気の説明の時期・内容と認識について検討したので報告する。【目的】思春期以降の複雑心奇形術後の患児への病気の説明と本人の認識についての現状を明らかにし,看護の役割を検討する。【方法】複雑心奇形術後(TCPC術後等)の12歳以上の患児114名を対象としてアンケート調査を実施した。本人への病気の説明の時期,説明者によって本人の病名や術式の認識に差があるのか検証した。(Fisher’s-exact-test)【倫理的配慮】アンケート調査は,倫理委員会の承認を受け本人,保護者の同意のもと行った。【結果】対象者の76.3%(84名)が母親を始めとした家族から病気の説明を受けたと回答していた。病気について説明を受けた110名のうち,病名を正しく記載した患児は49%(56名)であり,医師から説明を受けた患児の方が家族からより正解率が高く,有意差があった(P≦0.05)。病気の説明を受けた時期と記載の正解率には,有意な差はなかった。【考察】複雑心奇形術後の患児の殆どが家族から病気の説明を受けていたが,本人が病名や病気のコントロールに関する知識を十分に持っていない状況がみられた。現在の移行支援プログラムは患児自身への教育が中心であり,家族への支援プログラムはまだ確立していない。今回,説明の適切な時期は明確に出なかったが,発達段階や,個人の成長に併せた説明時期を検討する必要があると考える。その上で,看護師が移行支援を開始する時期までに,家族の病気の認識について確認し,患児への関わりを共に検討していく必要がある。また,家族が児の自律に向けて働きかける機会を設け,家族の協力が得られるように支援していくことが今後の看護師の重要な役割と考える。