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[III-OR40-02] 静脈キャパシタンス介入療法によるFontan患者の運動時中心静脈圧上昇への影響
キーワード:Fontan, 運動, CVP
【背景】右心をバイパスするFontan循環は、運動にともない中心静脈圧(CVP)が著明に上昇する。静脈Capacitance(Cv)は、安静時CVPのみならず、この運動時のCVP上昇に重要な役割を演じている。【目的】Cvの増大を標的にした積極的動静脈拡張療法(Super Fontan Strategy)の導入が、Fontan患者の運動時CVP上昇を抑制するという仮説を検証した。【方法】Fontan患者12人のトレッドミル運動負荷(TM)中の血行動態変化(CVP、血圧、酸素飽和度、心拍数、心係数)をSuper Fontan Strategy(ニトロール、貼付もしくは内服、0.8-2.5mg/Kg、エナラプリルを0.1-0.2mg/Kg、その他必要に応じ肺血管拡張薬)介入前後(12か月)で比較した。またCvは、インドシアニングリーンによる循環血液量を末梢駆血圧から算出した平均循環充満圧で除して直接算出比較した。【結果】介入前後における最高運動Stageは変わらなかったが、運動に伴うHR上昇、血圧上昇、CVP上昇はともに介入後有意に低下した(148±18 vs. 140±15, 148±26 vs. 140±19 mmHg, 19.2±2.6 vs. 15.3±2.0mmHg, p<0.05)。Cv`は介入後に有意に増加し(p<0.01)治療効果を裏付けるとともに、運動時最大CVP上昇はCvと有意な負の相関を示した(p<0.05)。【考察】Fontan術後慢性期の合併症の主因であるCVPを、安静時のみならず動的変動も抑制するSuper Fontan Strategyは、遠隔期合併症の改善につながる可能性のある重要な内科管理と思われ、前方視的検証に値すると考えられる。