9:30 AM - 10:20 AM
[III-OR40-05] 起立性調節障害における自律神経機能異常―心拍変動指標(時間および周波数領域解析)による解析―
Keywords:起立性調節障害, 心拍変動, 日内変動
背景:起立性調節障害(OD)患者は自律神経機能異常を認める。その特徴を日内変動に注目して検討することで、思春期に起立不耐(OI)を生じる疾患の鑑別に使えないか。対象:当院で過去2年間にホルター心電図検査(Holter)を施行した小児80名(年齢が10-15歳)。OIを認めOD診断患者をOD群(N=30)、OIを認めその原因となる疾患を認めOD以外の確定診断した患者(不整脈除外)をnon-OD群(N=15)、及び、学校検診での不整脈精査患者(期外収縮、OIなし)をコントロール群(C群、N=35)とした。方法:Holterから得られた心拍変動指標を後方視的に各群間で比較し、特に、睡眠中と覚醒中の各指標とその比率(睡眠/覚醒時比:Circadian index、CI)に注目した。自律神経機能パラメーターは、平均心拍数mHR以外に、交感神経活性指標: SDANN、 LF/HF、及び、副交感神経活性指標:RR50,%RR50、rMSSD、HFを用いた。結果:各群間で、性差(C群で女性が少ない、p=0.02)以外、年齢、睡眠時間、就寝時間、心胸郭比に差はない。心拍数はOD群が優位に高い。交感神経活性指標に関しては、LF/HFは差がないが時間領域解析ではOD群の覚醒時の指標が低かった。副交感神経活性指標は、覚醒時指標がOD群において有意に低下、従って、CIがOD群で有意に高値を示した(OD群 vs non-OD群、C群)。%RR50;3.98±2.19 vs 1.54±0.54、1.85±0.74 (p<0.0001);RMSSD, 2.06±0.65 vs 1.35±0.38、1.42±0.29 (p<0.0001);HF, 4.03±2.51 vs 1.59±0.69、1.85±0.74 (p<0.0001)。結語:OD患者は日中の副交感神経機能低下があることが明らかになった。Circadian indexを用いることにより、自律神経機能の発達による影響を受けずにODの背景にある自律神経機能異常が判断できる可能性がある。