第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター (III-P32)
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2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:渡辺 健(田附興風会医学研究所北野病院 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P32-02] 選択的心臓血管造影における適切な造影剤注入量、注入速度の検討

田原 昌博, 真田 和哉, 新田 哲也, 下薗 彩子 (あかね会土谷総合病院 小児科)

キーワード:cardiac angiography, contrast dye, ventricular premature contraction

【背景】短絡性心疾患の心臓血管造影における適切な造影剤注入量(IV)、注入速度(IR)を記載している教科書はなく、体格、心拡大、心拍数等から、経験的に1.0-1.5ml/kgの造影剤を1-2秒かけて注入している。各種データから適切なIV、IRを算出することを試みた。【方法】対象は2007年~2016年に当院で心臓血管造影を行った心室中隔欠損症(VSD)術前症例の内、心房中隔欠損、動脈管開存、肺動脈狭窄等の非合併症例104例。右室造影時の右室拡張末期(RV)と肺動脈収縮期(PA)の静止画を選択し、医師4人で視認性評価(VS)(1:評価困難、2:辺縁が見えづらい、3:辺縁はまずまず見えて評価可能、4:辺縁明瞭)を行った。各症例の循環動態パラメーター等とVSとのSpearmanの順位相関係数を出し、相関係数(R2 )0.3以上の因子について重回帰分析を、さらに造影剤注入時の心室性期外収縮(PVC)合併についてロジスティック回帰分析を行い、ROC曲線からカットオフ値を算出した。【結果】各因子の中央値は月齢(M)6ヶ月(0-284)、身長(BH)65.0cm(47.5-175.0)、体重(BW)6.2kg(2.3-68.7)、体表面積(BSA)0.32m2 (0.17-1.88)、肺体血流比(Qp/Qs)2.01(1.01-5.77)、一回拍出量(SV)9.94mL(3.77-158.59)、心拍出量(CO)1.31L/分(0.49-12.40)、VSD径5.1mm(0.5-11.0)。PVC合併は21例。VS平均値はRV2.78±0.84、PA3.02±0.93。RV、PAともM、BH、BW、BSA、Qp/Qs、SV、CO、VSD径/BSAがR2 0.3以上となり、IV(mL)はRV:1.01+0.14BH+0.05M(R2=0.89)、PA:2.77+0.11BH+0.06M(R2=0.90)、IR(mL/sec)はRV:0.29+0.10BH-0.05SV(R2=0.75)、PA:1.33+0.08BH-0.03SV(R2=0.78)となった。PVC合併のオッズ比はBW0.86(p<0.05)、IV1.48(p<0.01)、カットオフ値はBW11.8kg、IV14.5mLであった。【考察】IV、IRにはそれぞれBHとM、BHとSVが関連し、PVC合併にはBWとIVが関連していた。今後、前方視的な検討が望まれる。