第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

カテーテル治療

ポスター (III-P34)
カテーテル治療 3

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P34-07] 緊急血管造影と経皮的動脈塞栓術を試みた血胸の2例

豊田 直樹1, 稲熊 洸太郎1, 石原 温子1, 鶏内 伸二1, 坂崎 尚徳1, 菅 健敬2, 片山 哲夫3 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児救急集中治療科, 3.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児外科)

キーワード:経皮的動脈塞栓術, 血管造影, 緊急

【はじめに】止血処置を要する外傷性・術後血胸に対する標準的な治療手段は開胸手術であるが、近年、胸腔鏡下手術や経皮的動脈塞栓術の有効性も報告されている。今回、鋭的胸部外傷および漏斗胸術後に血胸をきたし、緊急で血管造影を施行した小児の2症例を経験したので報告する。【症例1】6歳男児。自宅ででんぐり返りをした際、耳かき用に使用していたピンセットが左前胸部に突き刺さり、当院に緊急搬送された。バイタルは、HR 100、RR 20、BP 100/60、SpO2 100%(酸素5L)と安定。胸部CTではピンセットが第2肋間鎖骨中線あたりから上行大動脈方向へ刺入していたが、心タンポナーデなく、左の血胸と胸腺周囲への造影剤の血管外漏出が疑われた。損傷部位の同定と塞栓術を目的に血管造影を施行した。左内胸動脈に血管外漏出像を認め、同部位の計3か所にコイル塞栓術を施行。ピンセット抜去時に出血なく、胸腔ドレーン留置直後にのみ100mLの血液流出を認めた。術後7日目に軽快退院した。【症例2】10歳男児。5か月前に漏斗胸の手術(Nuss法)を施行し、術後経過は良好であった。前日の夕から胸痛を訴え、夜間に当院救急を受診。バイタルは、HR 68、RR 20、BP 108/57、SpO2 98%(room air)と安定。レントゲンで左下肺野の透過性低下を認め、CTで左胸腔内に液体貯留を認めた。胸腔ドレーン留置後に200mLの血性排液あり、半日での経時的なHb低下(10.6→9.2)を認めたため、緊急で血管造影を施行した。胸腹部大動脈、鎖骨下動脈、内胸動脈、肋間動脈と丹念に出血源の検索を行ったが、活動性の血管外漏出所見を認めず、ドレーンからの持続的な出血も止まったため、コイル塞栓術は施行せずに終了した。【まとめ】心疾患のない小児での出血責任血管の多くは正常血管であり、経皮的動脈塞栓術が可能であれば有効性は期待できる。小児循環器医が緊急で治療を依頼される機会も予想され、血管解剖や手技に習熟しておく必要がある。