Poster (III-P37)

[III-P37-05] 肺静脈還流異常を伴わないCHD症例に生じた肺静脈狭窄の検討

^○瓦野 昌大, 田中 敏克, 城戸 佐知子, 藤田 秀樹, 富永 健太, 小川 禎治, 亀井 直哉, 松岡 道生, 平海 良美, 谷口 由記, 上村 和也 (兵庫県立こども病院 循環器内科)

Keywords:BAS, 喀血, 肺静脈狭窄

【背景】肺静脈還流異常(APVC)非合併CHD症例における肺静脈狭窄(PVS)の臨床像は明らかではない。【目的】APVC非合併CHD症例に生じたPVSの臨床像を明らかにし原因を推定する。【対象と方法】1981年11月から2016年12月の間に当院入院歴のあるAPVC非合併PVS患者(heterotaxyを除く)8例においてPVSの特徴、患者背景、介入、予後等について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】症例は男児6例、女児2例。疾患はEbstein anormaly1例、TGA2例、DORV2例、PA/IVS2例、SRV(非heterotaxy)1例で全例がsitus solitusで心尖は左側であった。先天的にPVSを認めた例はなかった。PVSは全例左側に発生し7例は上下に認めた。PVSの原因は1例で心拡大による圧迫、1例でBASによるPV損傷、6例は不明であったが6例ともBAS施行歴があった。3例でステント留置ないし外科的PVS解除を施行も解除できたのは１例のみであった。肺静脈閉塞(PVO)となった7例で喀血を認め5例でACPAのcoil塞栓を施行していた。BVRを施行したTGA1例を除いた7例がFontan candidateであったがTCPCに到達したのは3例のみで1例にPHを認めた。最終フォローアップ時点での年齢は中央値14歳0か月(4歳1か月-31歳4か月)で全例生存していた。【考察】PVSは全例左側に発生するという特徴があった。ほとんどの症例が左大動脈弓やBAS施行歴があることから左側PVSとの関連が疑われた。またPVS解除は困難で上下ともPVOに至る症例が多かった。フォローアップ期間の生命予後は良好であったが、機能的片肺からTCPCに至れない症例や、喀血を認める例も多く注意深いフォローアップが必要である。