第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター (III-P37)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:田中 敏克(兵庫県立こども病院 循環器内科)

13:00 〜 14:00

[III-P37-10] 先天性心疾患患児の両側横隔神経麻痺症例における術後管理についての検討

森下 祐馬1, 梶山 葉1, 竹下 直樹1, 西川 幸佑1, 久保 慎吾1, 河井 容子1, 池田 和幸1, 中川 由美1, 奥村 謙一1, 糸井 利幸1, 山岸 正明2 (1.京都府立医科大学附属病院 小児科, 2.京都府立医科大学附属病院 小児心臓血管外科)

キーワード:横隔神経麻痺, 体肺側副動脈, 先天性心疾患

【背景】先天性心疾患術後に両側の横隔神経麻痺(DP)を呈すると,乳幼児症例では全身管理において難渋することが多い.【目的】両側DP症例の臨床経過と問題点を明らかにする.【方法】2013年以降,当院にて両側DPを呈した3例を対象とし,手術時月齢・体重,術後経過,DPの改善の有無と時期,血行動態への影響,予後について検討した. DPの診断は,自発呼吸下での単純透視で行った.【症例】症例1:左心低形成症候群(HLHS),低出生体重児.生後3ヶ月(体重3.5kg)Norwood手術時に左DP,生後7ヶ月(体重3.6kg)両方向性Glenn手術(BCPS)時に右DP.術後,気管内挿管による人工呼吸管理から離脱できず,生後10ヶ月気管切開術.左DPは生後7ヶ月に,右DPは1歳1ヶ月に改善.1歳3ヶ月時に体肺側副動脈(mAPCA)に対してコイル塞栓術.また複数の静脈-静脈短絡を認めた.胃食道逆流のため噴門形成術・胃瘻造設術を行い,1歳11ヶ月退院.自宅にて急変死亡.症例2:HLHS.生後11ヶ月(体重5.7kg)BCPS時に両側DP.術後,気管内挿管による人工呼吸管理から離脱できず,1歳0ヶ月気管切開術.1歳3ヶ月時の透視で両側DP改善.mAPCAのコイル塞栓術はBCPS後に2回施行.現在,Fontan型手術を待機中.症例3:大動脈縮窄複合,低出生体重児.生後4ヶ月(体重5.1kg)大動脈弓再建術+心内修復術時に両側DP(左は不全麻痺).術後,抜管できたもののnCPAP管理下で無気肺を繰り返して離脱できず,生後8ヶ月気管切開術.左DPは生後10ヶ月に改善.現在,術後心カテ待機中.【考察・結論】乳児期は呼吸運動の主体を横隔膜が担っているため,両側DPにより呼吸不全を呈し,自然軽快までに時間を要することから気管内挿管やnCPAPによる長期呼吸管理,気管切開術を要する場合がある.右心バイパス術症例のDPでは麻痺側肺の拡張障害やmAPCA新生を惹起する可能性がある.