The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

術後遠隔期・合併症・発達

Poster (III-P38)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Koichi Sagawa(Pediatric Cardiology Fukuoka Children's Hospital)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P38-04] 経皮的カテーテル心房中隔欠損閉鎖術後2年で感染性心内膜炎を発症し、治療に難渋した一例

高砂 聡志, 住友 直文, 山田 浩之, 宮田 功一, 福島 直哉, 永峯 宏樹, 大木 寛生, 三浦 大, 渋谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)

Keywords:経皮的カテーテル心房中隔閉鎖術, 感染性心内膜炎, 心房中隔欠損症

【初めに】一般に、カテーテル閉鎖術後6か月以上経過した心房中隔欠損症(ASD)は感染性心内膜炎(IE)発症のリスクは高くないとされている。今回ASDに対する経皮的カテーテル閉鎖術後2年でIEを発症し、多彩な臨床像を呈した一例を経験したので報告する。【症例】7歳女児。5歳時にASD(二次孔欠損、12 mm)に対し、当院で経皮的カテーテルASD閉鎖術(Amplazer septal occluder device)を施行した。2日続く嘔吐、発熱のため前医を受診した。眼球結膜充血と口唇発赤、項部硬直を認め、炎症反応高値で、髄液の細胞数上昇と糖低下を認めた。細菌性髄膜炎を疑い抗菌剤を開始したが、入院当日夜間に心不全症状を呈し、川崎病主要徴候をすべて満たしたため免疫グロブリン療法を開始した。入院2日目に急性脳症を発症してメチルプレドニゾロンパルス療法を開始した。速やかに解熱したが、入院時の血液培養からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され、Janeway発疹およびRoth班も確認されたためIEと診断し、川崎病および急性脳症もIEに続発したものと考えた。この時点では疣腫は確認されなかった。治療経過は良好であったが、入院22日目にデバイスの左房側に12×4mmの可動性のある付着物を認めたため、当院に転院した。手術治療を提案したが同意が得られなかった。感染性心内膜炎による疣腫と考え抗菌剤を変更したが、血栓の可能性を否定しえず抗凝固療法を開始した。次第に疣腫の縮小を認めたが、転院9日目の頭部造影MRIで感染性脳動脈瘤の合併を疑われ、ワーファリンは中止しヘパリンでの抗凝固を継続した。疣腫の増大・縮小や新規の微細脳梗塞を繰り返したが、脳動脈瘤の悪化はなく経過した。6週間で抗菌剤を終了後、再度ワーファリンを投与したところ疣腫は消失した。再燃や新たな脳梗塞がないことを確認し、転院61日目に退院した。【結語】ASD治療遠隔期にもデバイス感染によるIEをきたし得るため注意が必要である。