第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

成人先天性心疾患

ポスター (III-P39)
成人先天性心疾患 3

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P39-01] 未治療のチアノーゼ性成人先天性心疾患における診療体制の問題点

高田 秀実1, 檜垣 高史1, 太田 雅明1, 千阪 俊行1, 森谷 友造1, 田代 良1, 高橋 昌志1, 宮田 豊寿1, 石井 榮一1, 小嶋 愛2, 打田 俊司2 (1.愛媛大学 医学部 小児科, 2.愛媛大学 医学部 心臓血管呼吸器外科)

キーワード:チアノーゼ, 成人先天性心疾患, 合併症

【背景】成人先天性心疾患患者は年々増加し、様々な問題点が指摘されている。多くのチアノーゼ性心疾患は小児期に発見され、治療されるが、まれに未治療のまま成人期を迎える患者がみられる。【目的】3例の成人期未修復チアノーゼ性心疾患を経験したので報告する。【症例1】56歳女性。就学前に心雑音を指摘され、ファロー四徴症と診断された。手術を進められるも拒否、循環器内科で経過観察されていた。心不全の増悪、不整脈(心房粗動、心房細動)を認め、当科紹介された。カテーテル検査を施行し、手術適応と考えられた。心内修復術(心室中隔閉鎖、心房中隔閉鎖、肺動脈弁形成、三尖弁形成、MAZE)を施行された。術後、不整脈が残存したが、カテーテルアブレーションにて改善した。【症例2】62歳女性。幼少期よりチアノーゼを認め、12歳時にファロー四徴と診断、37歳時に完全大血管転位(III型)と診断された。手術適応なしと判断され、循環器内科で経過観察されていた。チアノーゼが進行し、当科に紹介された。多血、高度チアノーゼを認めるが、不整脈、肺高血圧はなかった。姑息術もしくは心内修復術による酸素化の改善を提案されたが、本人は治療を拒否された。その後腎膿瘍を形成し、ドレナージによって加療された。【症例3】45歳男性。生後より心雑音、チアノーゼを認め、右心系単心室、僧帽弁閉鎖、肺動脈狭窄と診断された。手術適応なしと判断され、以後小児科外来にて経過観察されていた。44歳時に一過性の意識消失を認め、頭部MRIにて脳梗塞所見を認めた。45歳時の定期受診の際に心房細動に気がつかれた。除細動を行い、洞調律に復帰した。【結論】チアノーゼ性を有する成人先天性心疾患患者では多くの合併症が出現する。2症例では小児科の介入なしに長期間経過観察されており、最適なフォローアップがされていたとは言い難い。小児科医と循環器内科医が連絡を密にすることで予後の改善が期待できる。