The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

成人先天性心疾患

Poster (III-P39)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Shigeru Tateno(Department of Pediatrics, Chiba Cardiovascular Center)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P39-08] 動脈位血流転換術(ASO)後遠隔期に冠動脈入口部狭窄をきたし心室細動を起こした1例

中右 弘一1, 岡 秀治1, 梶濱 あや1, 石川 成津矢2, 紙谷 寛之2 (1.旭川医科大学 医学部 小児科, 2.旭川医科大学 医学部 心臓血管外科)

Keywords:冠動脈入口部狭窄, 心室細動, 動脈位血流転換術後

【目的】ASO後の合併症のひとつに冠動脈狭窄が知られている。しかし、その発生時期は術後急性期および1年以内が多いとされ、遠隔期での発症報告は少ない。【症例】28歳男性。完全大血管転位(1型;shaher4型)でLecompte maneuvarによるASO後の患者である。イベント発症1か月前より胸部絞扼感や動悸などを自覚する頻度が増え、精査予定であった。某日午前中、職場で倒れているところを同僚が発見し心肺蘇生を開始した。救急隊到着後にAEDを装着し、心室細動を感知し除細動が施行された。他院へ救急搬送され、その後精査加療目的に当院へ転院となった。他院搬送時の心電図では、aVR・V1-3のST上昇、Ì・aVL・V4-6のST低下を認めた。冠動脈造影では、右冠動脈(RCA)と左前下行枝(LAD)の入口部にカテーテルをengageしただけで上記同様の心電図変化(ST変化)が再現された。左回旋枝の造影では心電図変化をきたさず造影された。又、いずれの造影でも冠動脈末梢側の狭窄は認められなかった。造影CTではRCA+LADの起始部が大動脈の前壁に位置し肺動脈と大動脈の間を走行しており、さらに入口部の狭窄が明瞭に描出された。以上の検査結果より、RCA+LADの入口部狭窄による広範囲な心筋虚血が原因で心室細動に至ったと診断した。オフポンプ冠動脈バイパス術を施行し後遺症なく退院された。<考察>ASO術後における遠隔期冠動脈イベントの発症率は5–10%と云われている。非侵襲的検査の冠動脈病変検出感度が低い事から、定期的な冠動脈造影検査(5年、10年、15年)が推奨されている。本患者は18歳の時に冠動脈造影検査が施行されているが、前述した冠動脈病変は認められなかった。経年的に拡大した大血管によって冠動脈が挟まれる事により冠動脈狭窄が生じる可能性が考えられるため、冠動脈の移植部位によっては成人期になっても注意が必要である。