The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Poster (III-P40)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hiroyuki Fukushima(Department of Pediatrics, Keio University School of Medicine)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P40-06] 小児循環器診療におけるマシテンタンの使用経験

森田 篤志1, 野崎 良寛1, 石津 智子2, 石川 伸行1, 林 立申1, 加藤 愛章1, 高橋 実穂1, 堀米 仁志1 (1.筑波大学医学医療系 小児科, 2.筑波大学医学医療系 循環器内科)

Keywords:肺高血圧症, エンドセリン受容体拮抗薬, マシテンタン

【背景】マシテンタンは、ボセンタン、アンブリセンタンに次ぐ3番目のエンドセリン受容体拮抗薬である。本邦では2015年3月に承認され、その使用実績はまだ少ない。【目的】小児循環器診療におけるマシテンタンの効果と安全性を検討する。【方法】対象はマシテンタンが導入された先天性心疾患患者と20歳未満の肺高血圧患者9例で、診療録を後方視的に検討した。【結果】マシテンタン導入時年齢は14.6~55.8歳(中央値22.9歳)で、導入後観察期間は0.5~12.2カ月(中央値4.0カ月)であった。8例が先天性心疾患(二心室修復術後肺高血圧残存が5例(うち3例はEisenmenger症候群)、未修復のEisenmenger症候群が1例、TCPC術後1例、TCPS術後1例)、1例が特発性肺動脈性肺高血圧患者であった。ボセンタンからの変更5例、アンブリセンタンからの変更2例、シルデナフィルからのスイッチ2例であった。5例が併用療法で、2剤併用は2例(ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬1例、経口プロスタサイクリン(IP)受容体作動薬が1例)、3剤併用が3例(PDE5阻害薬とIP受容体作動薬の経口2例、持続静注1例)であった。新規導入例はなくWHO肺高血圧機能分類度(I:3例、II:5例、III:1例)が改善した症例はなかったが、3例で推定右室圧の低下、1例でBNPの改善がみられた。6分間歩行が比較できた2例では歩行距離の改善がみられた。TCPSの1例ではSpO2が75%から80%に上昇した。明らかな肝機能障害、腎機能障害などの有害事象は認めず、喀血や不整脈などの症状悪化は認めなかった。ボセンタン・タダラフィル併用下で喀血のあった1例では、マシテンタンに変更後肺水腫がみられ利尿薬の増量を要したが、喀血はなくなった。【結論】マシテンタンによる治療は、薬剤導入・変更時には血行動態の変化に注意を要するが、短期的には比較的安全かつ有用な治療であると考えられた。長期使用やより低年齢児の使用についてさらなる検討が必要である。