The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

川崎病・冠動脈・血管

Poster (III-P41)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Kensuke Karasawa(Nihon University School of Medicine, Department of Pediatrics and Child Health, Karasawa Clinic)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P41-01] 川崎病急性期の尿中β2-microgobulinについて

二瓶 浩一 (東邦大学医療センター大橋病院小児科)

Keywords:川崎病, 炎症, β2-ミクログロブリン

【背景】川崎病急性期に尿中β2-microgobulin(β2MG)は上昇し、治療反応性や予後の推定に有効と考えられている。しかし尿中β2MGはその不規則性や不確実性から不明な点も多い低分子蛋白質である。【目的】川崎病急性期自験例における尿中β2MGについて、検討する。【対象・方法】川崎病確実症例でガンマグロブリン治療(IVIG)開始前に尿中β2MGを計測し得た症例を対象とした。これらの治療反応性や予後、さらに同時に測定したこの時期の代表的な炎症マーカーやバイオマーカーである末梢白血球数、CRP、プロカルシトニン、血清アミロイドA(SAA)、NTproBNPとの関係について後方視的に検討した。【結果】川崎病急性期患者82名。IVIGは73名(89%)に行われた。IVIG1g/kgの1-2回投与で追加治療を必要としなかった群をIVIG反応群、追加治療を必要とした群をIVIG不応群とし検討項目を比較したところ、尿中β2MGは両群間で有意差なく唯一有意差を認めた項目はプロカルシトニンであった。これらの検討項目各々との相関を検討したところ尿中β2MGはCRPとスピアマンの順位相関係数(r2)=0.35(p=0.002)、プロカルシトニンとはr2=0.47(p<0.0001)、NTproBNPとはr2=0.54(p<0.0001)でありいずれの項目とも相関関係が認められた。なお今回の検討症例中、冠動脈後遺症合併例はなかった。 【考察】β2MGの臨床的意義は非特異的血清炎症マーカーとされるが、CRPやSAAとは異なる動態変化を示すことが知られている。プロカルシトニンやNTproBNPも川崎病急性期に治療反応性や予後を予測する上で有効とする報告が多く、産生機構の異なるこれらの項目に対しても相関を認めたことは川崎病急性期の病態を考える上で興味深い所見と考え報告する。