第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

川崎病・冠動脈・血管

ポスター (III-P41)
川崎病・冠動脈・血管 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:唐澤 賢祐(日本大学医学部小児科/唐澤医院)

13:00 〜 14:00

[III-P41-05] 過去10年に当院で経験した川崎病性巨大冠動脈瘤の検討

蜂谷 明, 赤澤 陽平, 元木 倫子, 赤川 大介 (信州大学 医学部 小児医学教室)

キーワード:川崎病, 巨大冠動脈瘤, 急性心筋梗塞

【背景】川崎病の診断率及び急性期治療法が改善し、巨大冠動脈瘤の合併率は減少した。しかし近年においても巨大冠動脈瘤を合併する症例は存在し、遠隔期での冠血管イベントのリスクがある。【目的】過去10年に当院で経験した川崎病性巨大冠動脈瘤症例の臨床像を検討すること。【対象と方法】対象は2007年以降、当院で経験した川崎病性巨大冠動脈瘤(最大径8mm以上)5例(全例男児、1歳1か月から6歳8日月、中央値3歳6日月)。診療録から後方視的に診断、診断病日、年齢、性別、症状、治療、有熱期間、冠動脈拡張開始病日、冠動脈最大径、予後について検討した。【結果】診断は定型例4例、容疑例1例。診断病日は4から14日(中央値8日)、有熱期間は11から19日(中央値14日)、冠動脈拡張開始病日は6から14日(中央値11日)であった。4例で大量免疫グロブリン療法を行い、追加治療としてステロイド初期併用療法、ステロイドパルス療法、血漿交換療法、インフリキシマブ療法をそれぞれ1例ずつ行った。残り1例は解熱後に川崎病と診断し、アスピリン内服を行った。最大径は左冠動脈5.5-17.6mm(中央値8.8mm)、右冠動脈8.3-13.0mm(中央値9.6mm)。2例は急性心筋梗塞を発症し,1例は抗凝固薬投与で血栓溶解したが、1例は冠動脈バイパス術を行った。【結語】冠動脈病変発症のハイリスクとされている、発症から10病日以内に解熱を目指すことが望ましい。今回の症例において有熱期間は全例10日を超えており、5例中2例(40%)と高率に冠血管イベントを発症していた。巨大冠動脈瘤合併を防ぐため、さらなる治療の検討が必要と考えられた。