The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

外科治療

Poster (III-P42)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Keiichi Fujiwara(The department of cardiovascular surgery, Hyogo prefectural Amagasaki general medical center)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P42-05] 両側肺動脈絞扼、動脈管ステント留置後左心低形成に対するReatined stent arch repair techniqueを用いたNorwood手術の1経験-新しい大動脈弓形成の可能性

本田 義博, 鈴木 章司, 加賀 重亜喜, 白岩 聡, 榊原 賢士, 葛 仁猛, 中島 博之 (山梨大学 医学部 第二外科)

Keywords:左心低形成, Norwood手術, 外科治療

【背景】左心低形成(HLHS)に対する両側肺動脈絞扼術+動脈管(PDDT)ステント留置は治療戦略の選択肢のひとつであるが、大動脈弓形成の際、ステント除去部の脆弱性や、ステント部切除を行う場合の大動脈弓短縮が懸念される。ChristopherらはPDDTステント留置例に対するNorwood-Glenn手術でステントを除去せずPDDT壁を新大動脈の一部として使用する術式を報告しているが、われわれはこの術式を月齢2のNorwood症例で行い、その経験につき報告する。【症例】胎児診断症例のHLHS(大動脈弁閉鎖・僧帽弁閉鎖)で上行大動脈径1.8mm。日齢5で両側肺動脈絞扼術施行。日齢30でPDDTステント留置。大動脈縮窄部のinverted-coarctationから冠血流低下・心機能低下をきたしたため、Norwood手術を予定された。【手術】日齢68、4.5kg。Norwood(RV-PA, DUNK technique )施行。新大動脈弓形成は以下のように施行;腕頭動脈・下行大動脈送血下、主肺動脈(mPA)-PDDTを左右肺動脈(PA)分岐部で離断、左右PAを切離。PDDTは大動脈峡部にかけ、大湾側をステントごと切開、ステントはワイヤ2本分のみ下行大動脈に残存した。上行大動脈をmPAと同じ高さで切断、大動脈弓小弯側とステントつきPDDT壁を側々吻合、“新遠位弓部“とした。上行大動脈・mPA中枢側を側々吻合、その後”新遠位弓部“へ吻合し大動脈弓形成を行った。術後経過は良好で、術後1か月の時点ではステント残存部に狭窄なし。遠隔期にインターベンションによるunzippingを予定している。【考察】ステント残存PDDTを利用した形成は、パッチなしでのスムーズな新大動脈弓形態形成、遠位弓部から下行大動脈の剥離の回避、縫合線の短縮、などの利点を有し、大動脈弓形成における選択肢となりうる可能性がある。残存ステントはインターベンションにより拡張可能と考えているが、残存PDDT壁の成長や壁応力が失われることの血行力学的影響等、注意深い観察を要すると考える。