13:00 〜 14:00
[III-P42-08] 出生後早期に手術介入を要した胎児期発症の左室内心臓腫瘍の一例
キーワード:心臓腫瘍, 外科的アプローチ, 横紋筋腫
症例は1か月男児.在胎27週時に左室内腫瘤を確認し増大傾向を認めた.腫瘤は左室流出路流速2.0m/s程度の狭窄を来したが進行を認めず,在胎37週5日に経膣分娩にて出生した.出生時体重は3468gであった.
臨床診断として結節性硬化症が疑われており,左室内腫瘤は心臓横紋筋腫であると想定された.
出生後の心エコーでは腫瘤は心室中隔に広く付着し32×22mm大であった.左室流出路血流は2.35m/sで胎児期と変化はないが形態的に流出路閉塞が危惧された.また心電図上ではV1-4誘導で有意なST低下が認められた.しかし腫瘍と僧帽弁及び弁下組織との位置関係が不明確であることや組織の脆弱性を考慮し,出生直後の手術治療を回避した.生後は十分な輸液負荷及び鎮静管理を行いつつ経過観察した.
1か月時に人工心肺下,心停止下に手術治療を施行した.アプローチは大動脈・肺動脈離断下に経大動脈弁的・経僧帽弁的に行い良好な視野を得た.腫瘍と僧帽弁及び弁下組織との癒着は認められず,周囲組織の損傷を来すことなく腫瘍の部分切除を完遂した.術中迅速診断により組織型は横紋筋腫と確認できたため完全切除は行わず手術を終了した.
術後の心エコーでは心臓腫瘍の大半は残存しているが,左室流出路流速は0.65m/sであり狭窄は十分に解除されているため今後の流出路閉塞のリスクは回避できたと考えられた.
現在術後5か月が経過したが発育上問題はなく左室流出路,僧帽弁,大動脈弁にも異常を認めていない.腫瘍はわずかに退縮しているが依然として大半の腫瘍は残存した状態であった.
心臓横紋筋腫は80-90%が結節性硬化症に合併し一般的に自然退縮するとされるが,状況によっては本症例の様に出生後早期に手術介入を要する場合もある.腫瘍の付着部位や大きさ,形態により介入時期や方法が異なるため,他診療科との連携を含めできる限りの術前評価を行った上での治療方針決定が必要と考えられた.
臨床診断として結節性硬化症が疑われており,左室内腫瘤は心臓横紋筋腫であると想定された.
出生後の心エコーでは腫瘤は心室中隔に広く付着し32×22mm大であった.左室流出路血流は2.35m/sで胎児期と変化はないが形態的に流出路閉塞が危惧された.また心電図上ではV1-4誘導で有意なST低下が認められた.しかし腫瘍と僧帽弁及び弁下組織との位置関係が不明確であることや組織の脆弱性を考慮し,出生直後の手術治療を回避した.生後は十分な輸液負荷及び鎮静管理を行いつつ経過観察した.
1か月時に人工心肺下,心停止下に手術治療を施行した.アプローチは大動脈・肺動脈離断下に経大動脈弁的・経僧帽弁的に行い良好な視野を得た.腫瘍と僧帽弁及び弁下組織との癒着は認められず,周囲組織の損傷を来すことなく腫瘍の部分切除を完遂した.術中迅速診断により組織型は横紋筋腫と確認できたため完全切除は行わず手術を終了した.
術後の心エコーでは心臓腫瘍の大半は残存しているが,左室流出路流速は0.65m/sであり狭窄は十分に解除されているため今後の流出路閉塞のリスクは回避できたと考えられた.
現在術後5か月が経過したが発育上問題はなく左室流出路,僧帽弁,大動脈弁にも異常を認めていない.腫瘍はわずかに退縮しているが依然として大半の腫瘍は残存した状態であった.
心臓横紋筋腫は80-90%が結節性硬化症に合併し一般的に自然退縮するとされるが,状況によっては本症例の様に出生後早期に手術介入を要する場合もある.腫瘍の付着部位や大きさ,形態により介入時期や方法が異なるため,他診療科との連携を含めできる限りの術前評価を行った上での治療方針決定が必要と考えられた.