The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

外科治療

Poster (III-P42)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Keiichi Fujiwara(The department of cardiovascular surgery, Hyogo prefectural Amagasaki general medical center)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P42-09] 左室緻密化障害合併VSDの一例

松葉 智之1, 山下 健太郎1, 井本 浩1, 塩川 直宏2, 櫨木 大祐2, 上野 健太郎2 (1.鹿児島大学大学院 心臓血管・消化器外科学, 2.鹿児島大学小児科)

Keywords:心筋緻密化障害, VSD, 外科手術

心筋緻密化障害は心機能低下を来たす心筋症の一種であり,その予後は不良で心移植等の適応になる疾患である.今回出生時から心機能低下を呈した左室緻密化障害合併VSD症例に対して姑息術・根治術を施行した一例を経験した.
症例は1歳10ヶ月,女児,診断はVSD, ASD, moderate TR.出生時から左室壁運動不良でありDOA, コアテック投与下に生後1ヶ月目にPA banding, PDA ligation施行した.術後経過は概ね良好で一旦は自宅退院となったが,その後も左室駆出率30-40%, 体重増加不良改善なく,感冒等で心不全悪化し入院加療を必要とする状況であった.1歳5ヶ月時に感冒を契機に再入院となり,コアテック持続投与およびβブロッカー,ACE阻害薬内服により心不全症状は改善した.左室駆出率50-60%と改善傾向にあったため耐術可能と判断し1歳10ヶ月時に根治術を施行した.術後経過は概ね良好であり,内服調整に時間を要したが術後3ヶ月目に自宅退院となった.現在術後2年経過しているが,心不全による再入院等無く当院小児科外来フォロー中である.本症例に家族歴はなく,現在報告されている心筋緻密化障害の原因となるような遺伝子異常は確認できなかった.
心筋緻密化障害は心収縮力が低下し拡張型心筋症様の病態を呈するほか,塞栓症や不整脈など臨床像は多彩である.発症時期も幅広く,新生児・乳児期発症例は心機能低下例が多く予後不良である.本症例は出生時から心機能低下している乳児期発症例であり,姑息手術および内科的加療により根治術に至った症例である.心機能低下症例においては外科的介入が死亡リスクとなるため,手術適応および手術時期に関しては慎重に判断する必要がある.