第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

外科治療

ポスター (III-P43)
外科治療 4

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:崔 禎浩(宮城県立こども病院 心臓血管外科)

13:00 〜 14:00

[III-P43-05] 三尖弁切開を併施した心室中隔欠損閉鎖術後の三尖弁閉鎖不全の検討

岩瀬 友幸, 平田 康隆, 益澤 明広, 高岡 哲弘, 小野 稔 (東京大学医学部附属病院 心臓外科)

キーワード:心室中隔欠損, 三尖弁切開, 術後合併症

【背景・目的】膜様部心室中隔欠損パッチ閉鎖術時には、三尖弁の形態などから欠損孔辺縁の視認性が得られないことがあり、多くの施設で三尖弁輪に沿って弁切開するdetachment法が用いられる。当院ではより視認性を高めるため、三尖弁尖から弁輪方向に切開しているが、本方法が妥当性については議論の余地があり、今回三尖弁機能の温存も含めて検討した。【方法】2013年6月初回手術として単独で膜様部心室中隔欠損パッチ閉鎖術を施行した34例を対象として、三尖弁切開を必要としなかった24例(A群)と、三尖弁切開を要した10例(B群)に分けて術後三尖弁機能および合併症の有無を評価した。尚、三尖弁切開を行った症例は、パッチ閉鎖後に単結節で縫合閉鎖し、両群ともに術中の経食道エコーで中等度以上の三尖弁逆流がないことを確認した。【結果】手術時月齢(A群:4.0±2.2 vs B群:2.9±1.7month)、体重(4.7kg±1.2kg vs 4.5kg±1.4kg)は両群間に有意差はなかった。人工心肺時間(90.0±20.7分 vs 106.8±25.4分)と有意差はなかったが、大動脈遮断時間(39.8±9.3分 vs 58.2±8.0分)とA群で短かった。周術期死亡はなかったが、A群で一過性にcomplete AV blockを認めた。術直後mild TR(2例 vs 3例, 有意差なし)であったが平均11.2か月後のfollow upでは、B群でmild TRを1例認めるのみであった。術後早期のVSDの遺残短絡(14例 vs 4例)に有意差はなく、その後のfollow upでも遺残短絡は消失する症例が多く、再手術介入を要する症例はなかった。【考察】心室中隔欠損閉鎖の際、欠損孔辺縁の視認性が悪くVSDの遺残短絡や刺激伝導系の損傷のリスクが高いと判断した場合、三尖弁を弁尖から弁輪方向に切開し、パッチ閉鎖後に三尖弁修復を行っても、三尖弁逆流の増悪等なく経過しうる可能性があり、有用性は高いと思われる。