10:25 AM - 11:55 AM
[III-S12-02] Team approach in ACHD -from the view point of cardiovascular surgeon-
Keywords:ACHD, チーム医療, 外科
成人先天性心疾患(ACHD)患者は増加し続けているが、その診療において国内で十分な診療体制が未だ確立されず、各地の事情にあわせ独自の体制の構築途上にある。早期からACHD診療に対しチームを構築して臨んでいた当院の経験を踏まえ、望ましい診療体制について心臓血管外科医の視点で考察する。患者のライフサイクルから考えると、小児科からの移行のための循環器内科のチームへの参加はもちろん、成人期特有の病態(妊娠出産や生活習慣病等を含む)に対応するため内科・産婦人科や、疾患や治療に対する精神的支援のため精神科・臨床心理士・看護師のチームへの参加が望ましい。また、チームの一員として心臓外科医が身につけるべき技術という視点から考えると、Fallot四徴症や完全大血管転位症等における遠隔期の大動脈基部手術や、加齢に伴う動脈硬化による冠動脈バイパス術やステントグラフト内挿術等の症例もあり、成人心臓血管手術全般のトレーニングが不可欠になっている。また、手術の多くは再手術であり、癒着剥離が不可欠である。剥離技術の向上のため、超音波メスや熱メス等のデバイスにも習熟する必要がある。さらに、側副血行路や遺残シャントなどの処理において、coilやvascular plugを使用することもしばしばあり、カテーテル治療技術も必要である。近年では、これに加えて進行した心不全に対して補助人工心臓や心移植といった選択肢も考慮されるようになりつつある。今後はこれらについても十分な知識と経験が求められると思われる。これらを小児心臓外科医自身が修練するか、成人心臓外科医や血管外科医がチームの一員に加わることが望ましい。そう考えると、ACHD患者の生涯にわたり十分対応できる心臓外科医は不足している。近隣や時には遠隔の施設との病院間連携が不可欠である。そして、それでも一施設で経験できる症例数は限られており、学会などが先導して症例をデータベース化することが求められる。