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[III-TRP4-02] プレパレーションを用いた採血方法の工夫―1歳の拘束型心筋症児への関わり―
キーワード:プレパレーション, ディストラクション, 採血
【背景】1歳児は「感覚運動位相」であり、自己の感覚と運動により事象を認知していくため、自己の思考により物事を見る事が出来ない時期である。そのため、必要な検査や処置を受け入れ対処行動を取ることはできない。今回、1歳の拘束型心筋症児に対して行ったディストラクションを用いた採血方法への援助を検討し、患児や家族への看護を振り返ったので報告する。【目的】1歳の拘束型心筋症児に対し、採血時に行ったプレパレーションやディストラクションの看護の実際を振り返り、効果的な方法を検討する。【倫理的配慮】研究の趣旨を説明し院内外で公表すること、個人を特定できない様にすること、研究への参加は自由意思であり途中でも撤回できること、不参加の場合でも不利益は被らないことを説明し、口頭と文書で母親に同意を得た。A病院看護部研究倫理委員会の承認を得ている。【看護の実際】 Aちゃんの採血での反応、母親の言動、看護の実際等、看護記録をもとに後方視的に振り返り検討した。初めは看護師が必要最低限の固定をして採血を行ったため、Aちゃんは激しく啼泣し、不整脈や嘔吐等の症状が見られた。抱っこ採血、病棟保育士の遊びの介入、DVD視聴、皮膚表面麻酔薬の導入等のディストラクションを徐々に取り入れて実施した。結果、児からは「アニメを見に行きたい」と自ら処置室に向かうような発言が聞かれ、実施中も啼泣せずに過ごせたり、啼泣しても帰室時には笑顔が見られるようになった。また、母親へは児の好きなキャラクターや遊びをどのように取り入れるか一緒に考え実施した。「これで泣かずに採血できる」等、満足感のある言動が聞かれるようになった。【考察】 感覚運動期にある1歳児への採血方法を工夫し、複数のディストラクションを組み合わせ評価しながら行う事は効果的であったと考える。また、母親とより良い方法を検討し、個別性のある環境を整えられたことも有意であったと考える。