The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

DB for congenital heart surgery

DB for congenital heart surgery(I-DB)

Thu. Jul 5, 2018 2:50 PM - 3:40 PM 第3会場 (302)

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:James D. St. Louis(Children's Mercy Kansas City)

[I-DB-03] JCVSD congenitalを利用した学術研究:本ビックデータの学術利用と問題点

帆足 孝也 (国立循環器病研究センター病院小児心臓外科 / 日本心臓血管外科手術データベース機構)

Keywords:データベース, 先天性心臓外科, 臨床研究

2008年から旧JCCVSDとして開始されたJCVSD congenitalは2017年までに121の参加施設から計72216件もの登録がなされてきた。国家規模のデータ集積システムの存在意義はもちろん、学会主導のself quality managementに他ならないが、同時にビックデータを活用した臨床研究も期待されるはずである。しかし、現在までに本データベース (DB)を用いた外科医による臨床研究で、英文論文として出版に至ったものは(年次報告などを除き)以下の4篇に留まっている。
1.データベース全体: Trend of mortality (Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2015)
2.施設間の治療戦略・成績の差:HLHS (Pediatric Cardiol 2018)
3.特定の患者層の成績:Down syndrome (Circ J. 2018)
4.特定の疾患・手術の成績:SAVVR in SV (Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2018)
本来ビックデータを活用した臨床研究は、統計学的検討に足る十分な症例数を複数施設から確保できる事から学術意義の高い結果が得られる利点があり、特に先天性心臓外科領域に頻繁にみられる、治療法や予後の明確でない希少疾患を対象とした研究で効果を発揮するはずである。とりわけJCVSDはNational Clinical Databaseに内包され、board certificationとリンクした事により入力に強制力を持たせたため、site auditの効果も併せてdataの入力率、正確性は十分に統計学的検討に足る。一方で、エンドポイントは90日生存であり、かつ創設期に出来る限り参加施設の入力の負担を軽減するため項目を吟味したことから、詳細な術前(診断や術式)・術後状態(心機能)や遠隔成績を明らかにするためには参加施設にその都度追加データの提出を負担することになる(データ利用区分B)。
本発表は上述の論文内容を紹介し、本DBの臨床研究のresourceとしての存在意義と、活用の際の問題点・改善点を討論する機会としたい。