The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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教育講演

教育講演1(I-EL01)

Thu. Jul 5, 2018 2:50 PM - 3:50 PM 第1会場 (メインホール)

座長:籏 義仁(昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)

[I-EL01-01] 失神診断の現状と今後の展望

小林 洋一 (昭和大学医学部 内科学講座 循環器内科学部門)

Keywords:反射性失神, チルト試験, 突然死

失神は高頻度に認められる症状であるが、脳外科、神経内科で初期対応することが今までは多かった。しかし、脳全体の還流低下が失神を生じることから、日本のガイドライン等の啓蒙により循環器科が主に初期診断するようになり、正確な診断がなされるようになってきた。また、失神は、突然死を生じる疾患群において重症度の判定に用いられてきた。このことから、原因診断の正確性がより重要となってきている。しかし、失神は予後良好の反射性失神から予後不良の心原性失神までスペクトラムが広いため、失神の原因を明らかにして判定しないとその重症度をミスリーディングする可能性が高い。その最たるものが、Brugada症候群やJ波症候群に合併する失神である。例えば、前者の植え込み型除細動器(ICD)の適応に関して、失神、突然死の家族歴、電気生理検査における心室細動のうち、二つを有していれば、クラスⅡaのICD適応とされている。近年、この症候群に合併する失神は、心原性失神ばかりでなく反射性失神の合併も多いことが判明してきている。また、電気生理検査における心室細動の誘発も特異度が乏しいことも知られている。つまり、この二つを基準にして必要のないICDの植え込みを受ける可能性もある。幸いなことに、医療機器の進歩は植込み型ループレコーダーの小型化を可能にし、体外式ループレコーダーの記録時間も伸びてきている。しかしこれらは治療機器ではないので、突然死を未然に防ぐことは困難である。そこで反射性失神を積極的に診断する必要がある。ヘッドアップチルト試験は感受性、特異度に問題を抱えていて、時間も労力も必要なために敬遠されがちである。しかし、その問題点を声高に論ずるよりも、その有用性を今一度認識し、神経調節性反射性失神の積極診断に活かすべきと考える。この講演では失神診断について考察してみたい。