第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ミニオーラルセッション01(I-MOR01)
術後遠隔期・合併症・発達 1

2018年7月5日(木) 10:00 〜 10:35 ミニオーラル 第1会場 (311)

座長:桑原 尚志(岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)

[I-MOR01-01] 先天性心疾患術後の急性腎障害と術後中期における腎機能についての検討

高砂 聡志, 住友 直文, 宮田 功一, 福島 直哉, 永峯 宏樹, 大木 寛生, 三浦 大, 渋谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)

キーワード:先天性心疾患, 急性腎障害, 慢性腎臓病

【背景】小児先天性心疾患の周術期には急性腎障害(acute kidney injury; AKI)が高率に発生し、死亡率や入院期間と関連があることが知られている。一方、術後の中長期的な腎障害や周術期AKIとの関係性については明らかでない。【目的】先天性心疾患術後のAKIと術後中期の慢性腎障害(chronic kidney disease; CKD)の合併率およびリスク因子を検討すること。【対象・方法】2017年1-12月,人工心肺を用いて先天性心疾患に対する心臓外科手術を18歳以下で実施し、術後3-24か月で心臓カテーテル検査を行った症例を対象に、診療録から後方視的に調査した。AKIの診断にはKidney Disease Improving Global Outcomes ガイドラインによる診断基準・分類を用いた。また、術後の心臓カテーテル検査入院時の血清クレアチニン値により術後中期のCKD stageを分類した。AKIの有無,grade2以上のCKDの有無で2群に分け,リスク因子として手術時年齢・性、RACHS-1分類、人工心肺時間、CKDでは心臓カテーテル検査時の体血流量、体心室駆出率、動脈血酸素飽和度を比較した.【結果】45症例(月齢0~162,中央値8,男26例)について検討を行った。術後AKIは10例(22%)で発症した。AKI症例は,非AKI症例に比べ人工心肺時間が長い傾向があったが(342 vs. 220分,P = 0.07),他に有意差のある因子はなかった。術後中期でのgrade2以上のCKDは14例(31%)と比較的高率にみられた。このうち、術後AKIを発症していた症例は5例(CKD症例の36%)で、術後AKIとCKDの関連性は認められなかった。CKD症例と非CKD症例で有意差のある因子はなかった。【結語】人工心肺時間が長時間に及ぶ症例ではAKI発症のリスクが高い傾向がある。一方、AKIとCKDとの関連は認められないが、術後中期では比較的高率に腎機能障害が見られるため長期的なフォローが重要と思われる。