[I-MOR02-04] 超低出生体重児における慢性肺疾患とそれに伴う肺高血圧症の発症についての検討
キーワード:肺高血圧, 慢性肺疾患, 超低出生体重児
【背景】本邦の超低出生体重児の生存率は世界第一位を誇るが、慢性肺疾患(CLD)を合併する例も多く、予後や生活の質が影響される。さらに、CLDに起因する肺高血圧症(CLD-PH)を発症する例が知られている。しかし、本邦のCLD-PHに関する知見は未だ限られており、近年発展している肺高血圧治療薬の効果も不明である。【方法】最近10年間に当院で経験した超低出生体重児(出生体重1000g未満)180例を対象として、CLDの発生数、CLD-PHの発生数、在胎週数および出生体重との関連、予後について後方視的に検討した。[1]日齢28を超えて酸素投与を要する、[2]修正週数36週を超えて酸素投与を要する、のいずれかの定義を満たす症例をCLDと診断した。【結果】119例(67%)が[1]を、95例(53%)が[2]を満たした。CLD-PHは6例(3%)に認められ、いずれも[2]を満たすCLDだった。6例中5例に肺高血圧治療薬(シルデナフィル4例、タダラフィル1例、ボセンタン2例、ベラプロスト2例、重複あり)が用いられ、3例は生存したが2例は死亡した。薬物治療なしの1例は自然軽快していた。在胎週数と出生体重の比較では、CLD-PHを発症した6例と発症していないCLD 89例の間に有意差はなかった。【まとめ】今回の単施設での検討では、超低出生体重児におけるCLD-PHの発症率は約3%で、その3分の1はPAH治療薬投与にもかかわらず死亡していた。CLD-PHの発症を、在胎週数と出生体重から予測することはできないと考えられた。どのようなCLD症例がCLD-PHを発症するか、また、どのような治療により予後を改善できるか、さらに症例を集積して解析する必要がある。