[I-MOR03-02] 内科的管理からみたRastelli術後の中期予後
キーワード:Rastelli手術, RVOTR, 抗血小板薬
【背景】Rastelli手術においては遠隔期の導管狭窄や肺動脈弁閉鎖不全による右室機能低下を回避することが重要となる。特に成長過程にある小児では将来の導管置換は避けられないが、術後内科的管理についての報告は少ない。【目的】体格の成長や内科的管理によるRastelli術後経過を検討すること。【方法】2005~2010年にRastelli手術(3弁付きePTFE導管)を行ったファロー四徴症・肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症の59例(女性26例)を対象とした。手術時の導管サイズと体格の変化、術後内服薬の有無などによる臨床経過と治療介入について、診療録より後方視的に検討した。【結果】手術時の月齢は中央値29か月(1ヶ月~24歳)、身長92.3±30.5cm・体重15.1±12.9kgであった。先行手術は42例で行われており(BTシャント22例・心内修復術3例(Rastelli11例・Trans-annular patch (TAP)6例・nonTAP3例))、導管サイズは平均17±3.3mmだった。経過観察期間は7.6±3.3年で周術期死亡はなく、遠隔期死亡は3例(突然死2例・敗血症1例)だった。Rastelli導管の治療介入を要した症例は29例(術後平均6.7年)で、10例に経皮的肺動脈拡張術を施行したが5例は無効であり、最終的に24例に再右室流出路再建術(RVOTR)を施行した。治療介入の有無による比較では、治療群で手術時の年齢・体格・導管サイズが有意に小さく、身長の伸びが有意に大きかった(0.5cm/月vs0.3cm/月)。また、小口径導管(≦16mm)の40例において21例に抗血小板薬を投与しており、術後1年のエコーによる導管の流速が有意に遅かった(p=0.0457)。介入の有無に有意差はなかったが、介入までの期間が有意に長かった(p=0.0037)。【結論】低年齢・導管サイズが小さいことに加え、身長の変化が大きい時期で狭窄がより進行する傾向であった。また、弁機能温存のために抗血小板薬投与が有用な可能性があり、さらなる検討が必要である。