[I-MOR04-02] 成人Fonan患者の心臓外疾患に対する鏡視下手術を安全に行うために~小児科医の役割と他科との連携の重要性~
キーワード:成人先天性心疾患, Fontan術後, 鏡視下手術
【背景】Fontan(以下F)術後成人例は増加し、F関連でない心外疾患に対する外科手術例が増加している。低侵襲な鏡視下手術の需要は拡大傾向だが、F術後患者では気腹や片肺換気による循環変化が危惧される。【症例1】21歳女性。TA。3歳でF術到達。20歳時のCTで重複食道と診断。感染・癌化・穿孔リスクから手術適応とした。術中循環破綻リスクや補助循環の必要性を小児科、心臓外科、小児外科、呼吸器外科、麻酔科等で協議し、心カテ室において術中同様の体位・換気条件下でシミュレーションを行った。片肺換気・側臥位・右肺動脈バルーン閉鎖でCVP12→17mmHgへ上昇したが心拍出量4.3→3.7L/minと維持されたため、補助循環バックアップで予定手術を遂行しトラブルなく終了した。【症例2】22歳男性。PA.IVS。3歳でF術到達。18歳時のCTで後縦隔腫瘤を指摘、神経原性腫瘍が疑われた。当初外科医からは摘出術は低リスクとして手術を勧められたが、小児循環器医介入のもとF循環での胸腔鏡下手術リスクを再度協議し、経過観察の方針へ変更となった。【症例3】33歳女性。DORV。9歳でF術到達。人工妊娠中絶後性器出血が持続し胎盤ポリープと診断。経皮的塞栓術では止血困難で、2児出産後のため子宮温存希望なく腹腔鏡下子宮全摘の方針とした。出産経験から気腹下手術での循環破綻リスクは少ないと判断、CVPモニタリング(14mmHg)下に予定通り終了した。【考察】医療の細分化・専門化が進む中、成人F患者の心外疾患に対する治療を行うにあたり、小児循環器医はFontan循環の専門家としてその治療の一端を担うべきである。安易な適応決定は避け、治療の治療方法や必要性について多職種間連携しチームを作り望むことが重要である。必要であれば術前シミュレーションにより血行動態を評価することも有効である。